[08]8トラックステレオ


いまどきのカーオーディオは全部揃えると30万もするらしい。しかもそれがよく売れているとか。かのBOSEやJBLもホームオーディオよりカーオーディオにより力をいれているくらい。考えてみれば、家の中では近所迷惑もあってそうそう大きな音を出せない。しかし、クルマの中なら誰にも文句言われない。横浜ベイブリッジの大黒PAでは日夜自慢のカーオーディオを披露するため大勢の若者が集う。

私らオジサンはすぐ壊れるカーオーディオに30万円かけるなら、長年つかえるホームオーディオにカネかけたほうがいいと思うけど、これも世代の違いかとしみじみしたりして。

さて、カーオーディオといえば今はかなり迫力のある機器が販売されていますが、その昔カーステレオといわれていた黎明期は8トラックステレオが一世風靡していました。テープのことを8パックなどと呼んでいたものです。

8トラックテープはちょっと前まではカラオケのテープにも使われていたもので、1/4インチのテープをエンドレスでつなぎ、テープの巾を8トラックに分けて2トラック4チャンネルとしたものです。1チャンネルあたり約10分から15分くらいで、それが4チャンネルありますから、大体LP1枚分ぐらいは収納できました。

カーステレオはこの8トラックステレオができる前までは、ラジオしかなかったわけですから、とてもセンセーショナルなものでした。もちろんカセットテープもない時代の話です。8トラックステレオはアメリカから入ってきたものと記憶しています。

8トラックはエンドレステープを使っていましたから、意外とデリケートな部分を持っており、テープを分解などすれば必ず調子悪くなり、テープが走行しなくなったり中でテープが絡まったりします。なにせこのエンドレステープはその道の職人がいて、その強くもなく弱くもない巻き方は至難の業だったと当時の雑誌の記事にありました。

チャンネルの切り替えは、テープのつなぎ目に張ってあるアルミ箔で感知し、プランジャーでヘッドの位置を変えるものです。当時のテープは質が悪く、鉄粉が手につくくらいですから、それがアルミ箔に付いたりしますとチャンネルが変わらず、それこそ同じ曲をエンドレスで演奏したものです。

この8トラックテープには実は2種類あって、パックの中にゴムのピンチローラー内蔵のものと、ピンチローラーがないものとありました。初期型はピンチローラーがなかったように記憶しています。

ピンチローラーのない形のパックは、下にピンチローラー用の大きな穴があいていて機器のほうからピンチローラーが入り込んできてテープをはさむような形になります。メカ的に複雑でトラブルも多かったようで、すぐにピンチローラー内蔵のものが主流になりました。こちらのほうじゃ構造も簡単で故障は少なかったようです。

故障が少ないといっても当時のことですから、やっぱり故障は日常茶飯事です。只でさえデリケートなエンドレステープ。高温多湿な車内で使えばテープが伸びてきてすぐにおシャカになります。

ロードサイドにも郊外型のテープ専門店が出来てきて、国道沿いのドライブインなどにも必ずこの8トラックテープは売られていました。性能はたいしたことなかったですがエンドレスということで非常に便利で使い勝手はよかった、といえます。専門メーカーも出てきました。今もあると思いますが、ポニーキャニオンやアポロンはこの8トラックテープを売り出すための会社ではなかったでしょうか?

その後カセットがカーステレオの主流になるわけですが、初期のカセットはオートリバースではなく使い勝手はあまりよくありませんでしたた。また今でこそDIN規格で各社共通の筐体ですが、当時はメーカーごとにサイズが違って、しかもよく壊れました。サイズが合うのが純正しかなく、しかも高価でしたからカーステレオはついているけど動かないというのが普通です。この時代のカーステレオに泣いた世代は、今でもカーオーディを信用していないと思います。というわけで、カーオーディオに30万円もかけるなんて、ばっかじゃないの?という結論に達してしまうわけです。

純正メーカーは富士通テンとクラリオンが主流でしたが、そんななかパイオニアはカセットテープのカーコンポを大々的に売り出し確固たる地位を獲得しました。記念すべきパイオニアのブランドはロンサムカーボーイです。このロンサムカーボーイの功績で、カセットはカーオーディオのトレンドはカセットに移行し。8トラックステレオは息を潜めることとなります。

2000-07-08

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