[14]シュアーV15typeIII


レコードを載せるターンテーブルはモーターで回転させる。回転したレコードはその溝に刻まれているアナログ信号を取り出して増幅し、音として出す。細かい信号を取り出すのは、トーンアームに装着されたカートリッジの役目だ。カートリッジには針がついていて、レコードの溝をトレースし、溝の左右に刻まれている信号を左右別々に取り出す。つまりステレオだ。

1973年頃カートリッジといえばMM型とMC型が全盛。どちらにしようかと迷うのも楽しい季節。MM型とはムービングマグネット型の略号。針先の信号をマグネットに伝えそのマグネットが振動してコイルに電流を生じさせ、その電流を増幅して音を出すタイプ。構造が簡単で出力も大きく手軽であった。

これに対し、MC型とはムービングコイル型である。MM型がマグネットを動かすのに対し、こちらはコイルを動かす。コイルはたくさん巻いてあるほど出力は大きくなるが質量も増してしまう。そのためそんなに大きいコイルは作れないから必然小さなコイルを動かすことになる。コイルが小さいから出力も小さい。専用のトランスを必要とするので、MM型に比べ余計な費用がかかる。

MC型で良いものをそろえるとなると、増幅するトランスやアンプを吟味しなければならないので相当高いものにつく。その点MM型は手軽に楽しめるアイテムであった。特に1973年に発売された「シュアーV15typeIII」は実売3万円程度で世界第一級の音が楽しめる。装着するプレーヤーも5万くらいのDDプレーヤーで十分。ということでわずか10万円で音の入り口をキメルことが出来た。この功績は大きい。

シュアーV15typeIIIは明らかに良い音だった。まずへぼいレコードをかけても音飛びしないのでびっくり。聞きなれたレコードから今まで聴いたことのなかった楽器の音が出てきてまたびっくり。針圧が0.5gでもへーきでトレースする能力にまたまたびっくり。という具合に驚きの連続であった。

当時流行った、ジャズやロック、ポップス系はこのシュアーV15typeIIIで決まり。交換針もMM型ならではの安さでマル。

ちなみにMC型のカートリッジの針交換は、針そのものの交換になるので自分では出来ない。メーカーに持ち込んで交換を依頼するのだが、交換から帰ってきたものは新品となっている。マイクロ精機で出したMC型のカートリッジは(たしかMC4100)交換針が別売で自分でできるようになっていた。しかしこれも、針をはずすと本体は磁石のみになってしまうほど針のユニットは大きく、交換すればたちまち新品となってしまうのだ。

2000-08-19

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