[16]コンポとは?


昔々、レコードを聞くには蓄音機が必要だった。手回しの蓄音機は電源もなくもちろんアンプもなく、しかし便利に聞くことができた。レコードと蓄音機があればとりあえず音楽に浸ることはできたのだ。

しかし、人間は贅沢にできており、また現状に満足しなくなるという悪いクセがある。かくして蓄音機はバラバラになりそれぞれのパーツが独自に進化して行く。竹でできた針はダイヤモンドを使うようになり、音の伝達にはカートリッジといわれる変換機が発明され、すべては電気の周波数を変化させて行うように改良された。

電気を使えば、それを同じ電気を使って増幅させ大きな音を出すことができる。ここでアンプの登場である。アンプはカートリッジからの微弱な電流を増幅し、同時に大きなスピーカーを駆動することもできるようになった。アンプは微弱な電流をとりあえず歪みなく増幅する機能と、それをさらに音として聞こえるように増幅する機能とにわかれた。プリアンプとメインアンプの登場である。

ラッパの原理で、アルミホイルを振動させたような微弱な音を増幅していたホーンは、マグネットとコイルを使った効率の良いスピーカーに取って代わった。さらに音を忠実に再現できるように、低音は低音用スピーカー、高音は高音用スピーカーと分業するようになる。音を低音と高音に分けるにはネットワークが必要でここでコイルとコンデンサを使ったLCネットワークが発明される。ネットワークに飽き足らないマニアは、低音、中音、高音をそれぞれのアンプで駆動するようになる。マルチチャンネルアンプの時代。

こうして、それぞれのパーツが独自の進歩を遂げ、オーディオは昇華したかのように思えた。しかし、自分のオーディオを良く眺めてみれば、音楽を聴くにはあまりにも大げさ。持ち運べないし金もかかる。最初に登場した電気の要らないポータブル蓄音機と比べ、本当に進化したのか?

かくして異常な事態に目覚めたユーザーとメーカーは、それ一つですべて事足りるラジカセ、ウォークマン、カラオケセット、ミニコンポに流れていくのである。

マニアからすれば、ピュアオーディオが廃れるのは淋しい。しかし、廃れ なければ新しいものは生まれてこない。これは世の中の正しい流れなのである。

2000-09-02

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