[21]セパレートステレオ


アンプにトランジスタを使うようになって、たやすく出力が得られ、全体的にコンパクトになったことがオーディオコンポのブームの発端となったことは否めない事実だ。真空管だけだったら多分このようなブームはなかっただろう。

オーディオコンポ幕開けちょっと前の1969年くらいまでは、セパレートステレオの全盛だった。両脇にスピーカーを従え、真中にコンソールをもち、上段にプレーヤー、中段がレシーバ、下段にテープデッキが格納できるようになっている。これがセパレートステレオの典型的なスタイルで、オーディオ機器と言うより家具に近い感覚だ。購買層もオーディオマニアと言うより普通のオヤジが買っていた。

当時はステータスとして3Cが言われていた。3Cとは、カー、クーラー、カラーテレビである。ステレオはそのあとくらいにランクされていたのではないか。当然上流のステータスであるから豪華に見えなければならない。そしてセパレートステレオはそういうオヤジ族の要求を満たしていた。当時のオヤジたちは歌謡曲やムードミュージックを好んで聞いていたから、当然それらが良く聞こえるステレオに人気があった。ということで、それらの要求を満たすパイオニアのステレオが良く売れたと、こう言うことである。

セパレート型の王者は間違いなくパイオニアだ。プレーヤーでいち早く性能を確立し、お得意のバスレフ式スピーカー、そしてウォルナットの豪華な仕上げは他社の追従を許さない。

しかし、他社の追い上げも凄かった。サンヨーOTTOなど生産が間に合わないものや、SEA(いまでいうグライコみたいなもの)を搭載したビクター、手堅い作りのオンキョーなどがパイオニアの後を追う。

セパレートステレオはその後遂にマルチチャンネルアンプまで搭載したモデルが出ることになる。マルチと言ってもフルマルチではなく、低音と中高音をフィルターアンプでわけ、それぞれを駆動する方式。中音と高音は従来のLCネットワークに依存している。

しかし、もとより10万円そこそこのセパレートステレオにマルチチャネルアンプを搭載しても音が良くなるわけがなく、つまり売らんがためのマルチチャネルであった。当時の物価を換算すれば、マルチチャネルアンプでまともな音を出すには少なくとも20万円以上はかかる。

ということで、つわものどものゆめのあと的なマルチチャネルセパレートステレオの面々はこちら

2000-10-08

関連記事: