[55]スタントン健在


カートリッジメーカーにスタントンというメーカーがありました。アナログレコード全盛の頃にはカートリッジの選択肢として外せないメーカーでしたが、なんとこのメーカーはDJ用機器に特化して今も健在です。

スタントンのカートリッジといえば、先端に箒のような刷毛が付いた独特のスタイルで人気がありました。同じく箒の付いたカートリッジにはピカリングもありましたが、スタントンとピカリングは社長を同じくする兄弟会社であったため、製品も似ています。

元々はピカリングは民生用、その後業務用としスタントン社長が自らの名前をブランドにしたスタントンが誕生。需要と人気を元にスタントンも民生用を発売し一般人である我々の目に触れることになったようです。

1960年~70年にかけては、カートリッジメーカーとしてはシュアーが性能的にダントツでしたが、価格が高いためには手が出ません。スタントンやピカリングは価格も安く、元気な音質で貧乏学生には人気でしたね。

アナログレコードの衰退とともに、ピカリングはカートリッジの製造を中止し、元々業務用出身のスタントンのみDJ用として生き残ったようです。

スタントンのカートリッジはMI型という形式です。MI(ムービングアイアン)式はMM(ムービングマグネット)の派生で、スタントンやピカリングはMM型も作っていましたが、メインはこのMI型。ムービングマグネットの代わりにマグネットに付随した鉄を動かすことで信号を電気に変換する方式です。

なぜ、MM型を使わないのかというと、当時MM型はシュアーの特許。MC型はオルトフォンが特許を持っていて、それらの形式を使うと、ライセンス料を支払わなければならないため製品の価格が上がってしまいます。そこでMM型の特許に触れないよう、各社オリジナルのピックアップを考案したという訳なのです。

また特徴であった「箒」は今でこそ懐かしむ御仁が多いですが、当時はこんなものイランということで、取り外したり使わない方法がもてはやされたものです。

で、現在普通に買えるスタントンのカートリッジですが、これはDJ用の為、オーディオには使えないのか?という疑問。

もちろんDJ用のカートリッジでも音楽再生は可能です。基本構造や出力など同じですから、使えないことはありません。

DJ用のカートリッジはスクラッチ等のラフな扱いにも耐えられるようにカンチレバーなど丈夫にできています。その分振動系が重くなり針圧も重めに設定されているのでハイファイ再生に必要な情報量や広い帯域は望めません。

しかし、腰の強い中域・低域など骨太な音質は古いレコードやJAZZなどにはかえって好都合ということであえて使う方もいます。

もちろんいまでもスタントンはHi-Fiオーディオ用カートリッジも出しています。モデル681EEE Mk-III(2011年5月現在の定価 22,050円)などは往年の形を踏襲しつつ、現代の音楽にも合うように設計されていますので、ぜひお試しになってはいかがでしょうか?

2011-05-21

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