[58]タンノイ オートグラフ


1970年代、JBLやアルテックはアメリカの元気のよい音を奏でるには最適ですが、クラシックといえばはやりヨーロッパのスピーカーが憧れでした。

その中でも有名さで一番、手の届かないことでも一番だったのがタンノイのオートグラフです。

このオートグラフは同軸型の38cm2WAYスピーカーを一本だけ搭載したスピーカーですが、1970年代当時の価格は70万円以上だったと記憶しています。

スピーカーユニット自体はそれほど高くなかったと思います。しかしこの価格の大部分はエンクロージャーにあります。オートグラフはフロントバックロードホーン。つまりフロントにもショートなホーン加工がされており、バックロードホーンは大きな箱の中を迷路のように音の道が巡っているという代物。

見ればわかりますが、このオートグラフはコーナーに置くように背面が直角になっています。壁を延長ホーンとして使うためです。そのため、2WAYとは思えない迫力と臨場感が生まれるのです。

オートグラフが最初に生まれたのは1953年。当時はステレオではなくほとんどがモノラル。そのモノラルレコードをかけても生演奏と同じ臨場感を目指したのがオートグラフだったのでしょう。

オートグラフはそのエンクロージャーの製作の難しさから、タンノイ社は途中で製造を断念しました。それを惜しんでエンクロージャーの製作の名乗りを上げたのが日本のティアック社でした。

1970年代から、多く販売され、私たちの目に触れるのはほとんどがティアック社の「タンノイオートグラフ」です。

そのときから、日本の技術って、すごかったんですね!
2012-11-30

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