呪いのヴァイオリン

エロティックな巨匠たち
Part1

一見堅苦しいクラシックの世界。でもそこに潜むものは現実よりも官能小説よりもリアルでエロティックな人間の愛憎の姿。古今東西芸術の巨匠達の裏路地にご案内します。

朝比奈マリー

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エロティックな巨匠たち2〜歴史を彩る淫らな女たち〜
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22 ヴィーナスの謎
21 血の婚礼
20 マハのほほえみ
19 血と砂
18 カルメン!
17 閉じ込められて
16 禁断の夜話
15 愚かしく美しく
14 血の滴るキャンバスその2
13 血の滴るキャンバス
12 聖なる快楽
11 謎の幻想庭園
10 サド侯爵 二人のヒロイン
09 「幻想交響曲」ある男の妄想と願望
08 SMの行き着くその果ては
07 エロティックな倭人たち
06 呪いのヴァイオリン
05 禁断のオペラ その2
04 禁断のオペラ
03 愛と罪と禁忌と罰と(雷帝イヴァンとその息子イヴァン)
02 青のエロス
01 倒錯した少女ジュリエット
00 ワーグナーが贈る、究極の性愛
 
第06回

呪いのヴァイオリン

これがチェリーニのヴァイオリンよ。
もう誰も触れることさえできないけれど、美しい装飾でしょう?
殺人と性犯罪に血塗られたチェリーニの両手から、
どうしてこんなに心が洗われるような作品が誕生するのかしら。
全くもって芸術とは奇怪なものだこと!

でもね、やっぱりこの楽器は美しすぎてどこか不気味だわ。
ベートーヴェンもほれ込んだヴァイオリニスト・クレメンスが
この楽器を弾いて狂死したからとか、
この楽器が鳴り響く舞台裏で、
お互いを差し違えた可哀相な二人の歌姫がいたからとか、
悪魔付きの烙印を押された持ち主がいたとか、
そんなエピソードがあるせいかしら?

そう思って見ると、渦巻に施された天使の微笑みが不気味に見えてこないこと?
その天使の髪の裏に、
歌声で旅人を魔の世界に誘う女怪・セイレーンの姿が彫ってあるのも意味が深そうね。
ねえ、この楽器が生まれたいきさつを知りたくなるでしょ?
実はね、このヴァイオリンは道ならぬ恋の産物なのよ。

中世のヴェネツィアのある時に、不幸な四角形の運命があったわ。
枢機卿、つまり女性との交わりを生涯禁じられた聖職者と、
類い希なる美貌の天才少女ゼノビア。
そして枢機卿が彼女に贈った、名工ガスパロ作のヴァイオリン。
そこまでは良かったわ。
ゼノビアは明るくしっとりとしたその音色を喜んだし、
枢機卿も父親のような気持ちでゼノビアと暮らしてた。

でも、そのヴァイオリンにチェリーニが絢爛な装飾を施してからというもの、
ゼノビアが夜毎に奏でるのは狂おしいばかりの憂いと狂騒。
「ガスパロとチェリーニと3人でいけない遊びをしているの」
と、彼女は法悦と罪悪感に満ちた瞳で、
彼女に恋した枢機卿が何に嫉妬をぶつけていいか苦しんでいるのを尻目に、
死ぬまで憔悴しきるほど、ヴァイオリンを弾き続けたのよ。
ヴァイオリンはまるで、彼女の命を吸い取るように鳴り響いたというわ。

それはチェリーニが何か細工をしたのかって?
そうかもね。チェリーニは元は金工師だったから、錬金術にも通じていたはず。
錬金術とは卑金属を貴金属に変える以外に、
魂のうちにあるものを物質に変容させるという術のことも言うのよ。
更にチェリーニは幼い頃から悪魔や魔物をこの目で見たと、
自伝にはっきりと書いているわ。
ねえ、チェリーニは何をそのヴァイオリンに込めたのかしら・・・
悪と性を呼び覚ます何かね・・・チェリーニらしいけれど。

その音色は聞いてみたいけど、少し怖いわ。
きっと体の心がはっと熱くなって、でも背筋はそっと凍るような、
そんな音なんでしょうね。
でも、あたしを大切に思ってくださっているのなら、
あなただけは、この楽器を弾くことを夢見ないでちょうだいね。


           朝比奈マリー ベルゲン博物館にて


2003.02.02


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更新:2013.06.06
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