聖なる快楽

エロティックな巨匠たち
Part1

一見堅苦しいクラシックの世界。でもそこに潜むものは現実よりも官能小説よりもリアルでエロティックな人間の愛憎の姿。古今東西芸術の巨匠達の裏路地にご案内します。

朝比奈マリー

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エロティックな巨匠たち2〜歴史を彩る淫らな女たち〜
歴史を彩る限りなく魅力的なダメ男達!
 

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27 血の王女
26 毛皮を着たヴィーナス
25 サロメ幻想
24 ダナエの吐息
23 復讐のメディア
22 ヴィーナスの謎
21 血の婚礼
20 マハのほほえみ
19 血と砂
18 カルメン!
17 閉じ込められて
16 禁断の夜話
15 愚かしく美しく
14 血の滴るキャンバスその2
13 血の滴るキャンバス
12 聖なる快楽
11 謎の幻想庭園
10 サド侯爵 二人のヒロイン
09 「幻想交響曲」ある男の妄想と願望
08 SMの行き着くその果ては
07 エロティックな倭人たち
06 呪いのヴァイオリン
05 禁断のオペラ その2
04 禁断のオペラ
03 愛と罪と禁忌と罰と(雷帝イヴァンとその息子イヴァン)
02 青のエロス
01 倒錯した少女ジュリエット
00 ワーグナーが贈る、究極の性愛
 
第12回

聖なる快楽

あら、画学生さん、どうかなさって?
まあ、模写が上手くいかなくて気分が悪い?それは大変!
レモネードでもお飲みなさいな。

少しはすっきりしたかしら?それは良かったわ。
その模写はベルリーニの「聖テレジアの法悦」ね。上手よ。
どうしても聖テレジアの顔が写し取れないって?
そうねえ。難しいわよね。あなた、恋人はいるの?
その恋人があなたの腕の中で身悶える時の閉じられた瞼や、熱い吐息を漏らすために薄く開かれた唇、心地よさに酔いしれて、あなたにうっとりともたれかかるときのポーズ、なるほど、そんな素敵な彼女になぞらえて描いたってわけね。
悪くないと思うわ。

でもね、一つヒントを差し上げたくてよ。
聖テレジアが、天使に矢を胸につきたてられる瞬間を告白した、彼女の自叙伝をお読みなさい。
彼女は例えば、こんな表現をしているわ。
 「快い一種の死」
 「苦しみのもたらす快さ」
この彫刻が金の糸で包まれているように、天からの光が彼女を包むと、人前だろうが、祈りの途中であろうが、手足も心も抗えない快感に包まれ、次に神への愛が燃え立つのを感じると、もう喘ぎ身を捩じらせるしかなかったという風にね。

まあ、ここまでだったらあなたの映したこの顔でいいのでしょうね。
実際、神と褥を共にしたという幻覚(?)に陥ったと書き綴った人もいたわけだし。

でも、それとは少し違う気がするというあなたの感性は素晴らしく鋭いわ。
聖テレジアは更に、「もう神以下のもので満足する事を欲しない」と語っているのだもの。
天使の矢と閃光が彼女の体を何度も貫く、なんて一見本当にエロティックな構図だけれど、どうやら性愛の次元では測れないものなのかもね。
よく遊女がお客を喜ばせるために、「死んじゃう」って言ったりする話はご存知ね?
テレジァは「この時間がずっと続いたら、確実に死を迎えるでしょう」と、大真面目に語るのよ。
恍惚の後の体力の消耗は大変だったとも。
そう。テレジァの感じた恍惚は、性愛の恍惚の比じゃないってこと。。。

あたしがその瞬間を味わった事があるかって?
とんでもないわ!!

さて、この彫刻はまた面白い事に観客まで作っているのよ。
ほら、聖堂の上のほう、覗いているのはベルニーニに彫刻を依頼した貴族 コルナーロ家の男達。
聖テレジァの法悦の場面を見て、論じたり、見とれていたり。
この彫刻が置かれている礼拝堂全体が舞台なのよ!
おまえさん達、一生この舞台の主役にだけはなれないのだよって、まるでベルニーニに天から嘲笑されているようね。

それにしても、本当に何と言うベルニーニの表現力!
この迫力。幾度訪ねても感服せざるを得ないわ。

あら画学生さん、模写はもういいの?明日にするの?
それより一緒にお食事をって?それは光栄だわ、優しいのね。
ああ、あたしの連れ?いいのよ、放っておいて。
コルナーロ家の男達と一緒になって、ぼうっとしてるの。
あたしのことなんてすっかり忘れちゃっているんだから。


イタリア サンタ・マリア・デッラ・ヴィッツトリア聖堂にて

2003.05.15


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更新:2013.06.06
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