血の滴るキャンバス

エロティックな巨匠たち
Part1

一見堅苦しいクラシックの世界。でもそこに潜むものは現実よりも官能小説よりもリアルでエロティックな人間の愛憎の姿。古今東西芸術の巨匠達の裏路地にご案内します。

朝比奈マリー

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エロティックな巨匠たち2〜歴史を彩る淫らな女たち〜
歴史を彩る限りなく魅力的なダメ男達!
 

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27 血の王女
26 毛皮を着たヴィーナス
25 サロメ幻想
24 ダナエの吐息
23 復讐のメディア
22 ヴィーナスの謎
21 血の婚礼
20 マハのほほえみ
19 血と砂
18 カルメン!
17 閉じ込められて
16 禁断の夜話
15 愚かしく美しく
14 血の滴るキャンバスその2
13 血の滴るキャンバス
12 聖なる快楽
11 謎の幻想庭園
10 サド侯爵 二人のヒロイン
09 「幻想交響曲」ある男の妄想と願望
08 SMの行き着くその果ては
07 エロティックな倭人たち
06 呪いのヴァイオリン
05 禁断のオペラ その2
04 禁断のオペラ
03 愛と罪と禁忌と罰と(雷帝イヴァンとその息子イヴァン)
02 青のエロス
01 倒錯した少女ジュリエット
00 ワーグナーが贈る、究極の性愛
 
第13回

血の滴るキャンバス

あなたの血の味がするわ。
ああ!それはこの上なく熱くて甘くて、狂おしいほどの激情が燃え立つ魅惑のワインのようよ。
ねえ、カラヴァッジョが血の滴る絵を生涯描きつづけたのは、こんな官能を求めつづけていたからかしら。

そう。光と影の画家、放蕩の殺人画家、カラヴァッジョ。
首から血を滴らせた蛇の髪の女怪・メデューサの断末魔の叫びや、敵将の寝首を掻き切るユディト。
英雄に殺されるゴリアテを自分の顔で描いたり・・・
そんな絵はグロテスクと芸術のギリギリの境界線にあって、あたし達の心を鷲づかみにするわ。

そして、そんな作品たちの原点だと思うの!
この「蜥蜴にかまれた少年」という絵!不思議な絵でしょう?
少しの不快さとちょっとした痛みと、小さなショックに歪んだ少年の顔のなんて官能的なこと!
モデルの少年が特別美しいわけでもないのにね。
どうしてこんなに惹かれるのかしら。
カラヴァッジョの激しい人生を予兆しているように見えるからかしら?

この絵はカラヴァッジョ38年の人生のうち、22歳のときの作品よ。
テーマを無理矢理決めるとしたら、「苦痛とは何か」ひいては「何故人間は人の苦痛を観るのが好きなのか」つまり、苦痛の魅力、人間の残虐性とは何か。
そしてこの答えが既に22歳のキャンバスの中にあるんだわ。
小さな子供がトカゲにかまれるなんていう、ありふれた風景の中に。

それにしても、どういうシチュエーションでこの情景に出会えたのかしら・・・

初めは「薔薇を生ける少年」だったのかもって?
なるほど!それがたまたまトカゲの出現で「苦しい表情が素敵だよ」
とカラヴァッジョが予定を変更したって事ね?素晴らしい推理だわ!
あたし?あたしはあなたの裏を行く推理をしたの。
「薔薇と君を描きたい」なんて言ってモデルを連れてきて、予め花瓶に仕込んでおいたトカゲを・・・なんて考えすぎかしら?
だってこの絵からはどうしてもカラヴァッジョの舐めるようないやらしい視線を感じてしまうんだもの。
モデルの少年の髪を葉の冠と薔薇の花で飾り、更に化粧を施し、シーツ1枚だけの衣装を着せるカラヴァッジョ・・・
それはこのシーンを盛り上げる小道具だったんじゃあないかしら?
・・・やっぱり確信犯に思えるわ。

そう。この絵の最上のドラマは額の外、キャンバスの外、「他人の苦痛こそ極上の快楽 血潮こそ極上のエロス
おれは一生、人の苦しみや死を描き抜いてやる!」筆を進めるたびにその確信を深める、若き日のカラヴァッジョ。
そんな映像が麻薬の幻惑のように浮かんでこないこと?
それともこれさえ、カラヴァッジョの演出・罠なのかしら。

そんなわけで、人の血はいわば非日常のドラマの格好の材料なのよね。
それも愛するもの、美しいものであればあるほど劇的効果は高まるという、禁断の材料なの。
その醍醐味を感じられるのは人間であればこそ、なんだけれど・・・ねえ。
こんな事を22歳で完全に理解していたカラバッジョって、鬼才なのか、変態なのか、あなたどっちだと思って?

さあ、あなたの傷はもう大丈夫のようよ。あたしの特効薬が効いたのね。
まあ、あなたったら謝らなくて良いのよ。
もう硝子の破片なんか拾わないでちょうだい。
あなたの美しい指先を傷つけるグラスになんて、何の未練もないことよ。


イタリア・ローマにて


2003.06.02


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創刊:2002.10.15
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更新:2013.06.06
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