血の滴るキャンバス その2

エロティックな巨匠たち
Part1

一見堅苦しいクラシックの世界。でもそこに潜むものは現実よりも官能小説よりもリアルでエロティックな人間の愛憎の姿。古今東西芸術の巨匠達の裏路地にご案内します。

朝比奈マリー

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エロティックな巨匠たち2〜歴史を彩る淫らな女たち〜
歴史を彩る限りなく魅力的なダメ男達!
 

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25 サロメ幻想
24 ダナエの吐息
23 復讐のメディア
22 ヴィーナスの謎
21 血の婚礼
20 マハのほほえみ
19 血と砂
18 カルメン!
17 閉じ込められて
16 禁断の夜話
15 愚かしく美しく
14 血の滴るキャンバスその2
13 血の滴るキャンバス
12 聖なる快楽
11 謎の幻想庭園
10 サド侯爵 二人のヒロイン
09 「幻想交響曲」ある男の妄想と願望
08 SMの行き着くその果ては
07 エロティックな倭人たち
06 呪いのヴァイオリン
05 禁断のオペラ その2
04 禁断のオペラ
03 愛と罪と禁忌と罰と(雷帝イヴァンとその息子イヴァン)
02 青のエロス
01 倒錯した少女ジュリエット
00 ワーグナーが贈る、究極の性愛
 
第14回

血の滴るキャンバス その2

ボッティチェリのユディトがあたしに似てるって言うの?
男の首と血の付いた剣を携えて婉然と微笑んでいるこの絵が?
まあいいわ。誉め言葉として受け取るわ。
旧約聖書の中で、ユディトほど多くの画家を惹きつけた女はいないでしょうしね。

ユディトはね、イスラエルの美しい街ベツリアの美しき救世主。
ある時町がバビロン軍に包囲されたとき、彼女は自ら敵陣に忍び込むの。寝返ったふりで。
そして敵将ホロフェルネスの褥でその寝首を切り落として翌朝さり気なく、街へ帰還した・・・
すごい女性でしょ? ねえ、画家達が競って描いた気持ち、あなたにも分かる?
あなたが画家ならば、どの場面をどんな風に描くんでしょう?

例えばボッティチェリのユディト記シリーズの一作目は、
透けるような碧の衣装をたおやかで儚げなユディトが微笑みながら街へ帰還する姿。
背景も幻想的で、何だか「ビーナスの誘惑」とでも題しておかしくない感じでしょ。
でもあくまでこの絵は人を殺した女。そう思ってみると、ぞっとする美しさに見えてこないこと?
更に2作目に、首のない敵将を敵軍が見つけ、慌てる場面を残しているわ。
「ビーナスの誕生」のふんわかした絵が有名な彼の描く殺人現場の、
淡い配色の中に、首の切り口の赤色の何て鮮やかな事!
やっぱり数多くの神を描いた彼にも、人の血は魅力的だったみたい。

当然大好きなカラバッジョもこのテーマを描いているのよ。
若い娘が目を釣りあがらせて、その首を切っている瞬間。
敵将は目を大きく開き、舌をたらし、お酒の回った首は勢い良く血を吹き出している。
そしてユディトは憎しみ、無謀なまでの若さ、そして無謀を実現してしまうパワー、
10代特有の思い込みの激しさや危うさが良く出ているわ。
同じ構図でジェンティレスキは、肉付きの良い中年の女としてユディトを描いたの。
その冷静な表情、初めからどういう風に首を切ろうかと考えていたというような、
落ち着き払った手さばき、芸術的なまでの計画殺人とはこのことかしら?
どっちがリアルかといわれれば、ジェンティレスキのほうだけど、
あたしはやっぱりカラバッジョが好きだわ。夢があるもの。

ヘメッセンの全裸のユディトも興味深いわ。
聖書にはどこにも「ユディトが敵将と寝た」なんて記述はないのにね。
編んだ髪が乱れていないところが、想像力をかきたてられるでしょ。
首の切り口のリアルさは、クラーナハね。
ユディトが人間離れしているのに対し、どうして死体の首をこんなにリアルに描く必要があるのか、
中世にタイムスリップして問い詰めたいくらいよ。

え?どのユディトがもっとも原作に近いかって?
多分、ジェレンティスキ・・・だけどもう少し信仰深さや従順さがあってもいいわね。
かといってボッティチェリだと夢すぎるし、
そうね・・・紹介しなかったけど、ラマの絵。首を切る前に祈りを捧げている彼女だわ。
特別賞?ヌードのユディトにしたいけど、
クラーナハの「ホロフェルネスを幻惑するユディト」の図の、
ホロフェルネスの時代錯誤なボンボンの沢山ついた衣装に、敬意を表してみましょうか。

さあ。ところであなた、ここまで聞いてあたしがユディとに似ているとはどういうことなのか、
説明していただきましょうか。
あら、大丈夫よ。このナイフはチーズを切るだけなのよ。
まあ、あなたったら!逃げないでちょうだい!

朝比奈マリー イタリア・フィレンツエにて

2003.06.26


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更新:2013.06.06
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