カルメン!

エロティックな巨匠たち
Part1

一見堅苦しいクラシックの世界。でもそこに潜むものは現実よりも官能小説よりもリアルでエロティックな人間の愛憎の姿。古今東西芸術の巨匠達の裏路地にご案内します。

朝比奈マリー

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エロティックな巨匠たち
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エロティックな巨匠たち2〜歴史を彩る淫らな女たち〜
歴史を彩る限りなく魅力的なダメ男達!
 

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27 血の王女
26 毛皮を着たヴィーナス
25 サロメ幻想
24 ダナエの吐息
23 復讐のメディア
22 ヴィーナスの謎
21 血の婚礼
20 マハのほほえみ
19 血と砂
18 カルメン!
17 閉じ込められて
16 禁断の夜話
15 愚かしく美しく
14 血の滴るキャンバスその2
13 血の滴るキャンバス
12 聖なる快楽
11 謎の幻想庭園
10 サド侯爵 二人のヒロイン
09 「幻想交響曲」ある男の妄想と願望
08 SMの行き着くその果ては
07 エロティックな倭人たち
06 呪いのヴァイオリン
05 禁断のオペラ その2
04 禁断のオペラ
03 愛と罪と禁忌と罰と(雷帝イヴァンとその息子イヴァン)
02 青のエロス
01 倒錯した少女ジュリエット
00 ワーグナーが贈る、究極の性愛
 
第18回

カルメン!

可愛いお嬢さん、道に迷って?どうやらこの土地の方じゃないようだけど?
・・・まあ、傷心旅行?恋人がこの街の踊り子と恋に落ちて帰ってこないって?
まあ。とんだことだったのね。ええ。お嬢さんが悪い訳じゃないわ。
ただね、知性とか教養とか、女の最たる武器が何の役にも立たない、
そんな場合も恋にはあるのよ。

たとえばその名はカルメン!!
教養も才能もない、ろくなスペイン語さえ話せない、ただの工場の女工。
育ちの悪さから身のこなしは獣のようだし、ファッションは毒花そのもの。
ドン・ホセが初めて出会ったカルメンときたら、
肩も露わなブラウスに、短いスカートを揺らすように腰をくねらせ、
口にくわえた花をぽん!と彼の眉間に投げつけるのよ。
でもこんな誘惑を低俗だと思いながらも、ホセはもうめろめろなのよね。

そこなのよ。お嬢さんにはなくて、その浮気相手の女にあるもの。
そうねえ・・・一言で言えば「野性」ね。
あなたは人前でトルコ風座り(あぐら)でオレンジをまるごと囓ったり、
仕事仲間の女の頬をナイフで斬りつけるなんてことはできないでしょ?
オレンジを食べるならガラスの器に白い花と一緒に盛るでしょうし、
女友達に意地悪するなら、せいぜいドレスやお菓子に細工するくらいでしょ?
男を誘惑するにしても、優しく花束と詩集を差し出すのでしょう?

でもカルメンは、ジプシーの血に由来する強烈な個性と
このアンダルシアの真昼の太陽のような生命力、それだけで生きてる。
ホセのように普段から理性の鎧に身を固めて生きている男には、
カルメンは経験した事のないセックスのシンボルのように見えた事でしょう。
口の端からオレンジの果汁を滴らせ、狼のような瞳でホセを見上げる姿、
カスタネット代わりに、割った陶磁器でフラメンコを踊り、
ホセを媚惑的に見つめる姿を想像してごらんなさい。
仕事なんてどうだっていい、この人を一晩抱きたいと思わせるには、
正統派じゃあダメだってことよ。

ただ、やっぱりカルメンは命を賭けてホセを愛してた事も見逃しちゃいけないわ。
「犬と狼じゃあいっしょにはなれないから、あんたは早くあたしを忘れるんだね」
なんてカルメンは自らホセに宣言したように、
ホセがカルメンに寄ってくる男達を嫉妬から次々に殺し、
そのために強盗になり、やがてはそんなホセに飽きたカルメンに逆上して殺す、
そんな結末をおぼろげながらも、彼女は全てわかっていたのでしょうね。
「あんたはあたしの夫だから、あたしを殺したっていいんだ。でもあたしは自由だ」
逆上するホセを前に、彼女は挑戦的にこう言うけれど、「お願い、殺して!」
って叫びにあたしには聞こえない事もないわ。
だって、夫がいても自由に恋愛を楽しむカルメンらしからぬ古風な台詞じゃない?
ねえ、確かにカルメンは悪女だけれど、
心の奥は淑女の武器・真心と貞淑なんて逆立ちしたって叶わない位
ホセに従順だったとも考えられないかしら。

そうねえ、お嬢さん。あなたの恋人を取り戻す手段はどうでも、
カルメンのこの精神から少しお勉強して、男をあなたから惑わすくらいのことは
次にできるはずよ。どうかしら?
男を誘惑するのにあなたに必要なのは、「意外性」ね。もう少し淫乱になるといいわ。

さて、お嬢さん、ここが例のあなたの恋人と、彼を奪った女の住む家なのね?
さあ、せいぜい棘だらけの薔薇を窓から投げ込んでおやりなさい。
そしてその後は・・・ねえ、アンダルシアの空を見上げてごらんなさい!
何て高く深い青なのかしら。ねえ、お嬢さん、人生は素晴らしいわ。

朝比奈マリー  スペイン アンダルシア地方にて

2003.09.22


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更新:2013.06.06
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