血と砂

エロティックな巨匠たち
Part1

一見堅苦しいクラシックの世界。でもそこに潜むものは現実よりも官能小説よりもリアルでエロティックな人間の愛憎の姿。古今東西芸術の巨匠達の裏路地にご案内します。

朝比奈マリー

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エロティックな巨匠たち2〜歴史を彩る淫らな女たち〜
歴史を彩る限りなく魅力的なダメ男達!
 

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27 血の王女
26 毛皮を着たヴィーナス
25 サロメ幻想
24 ダナエの吐息
23 復讐のメディア
22 ヴィーナスの謎
21 血の婚礼
20 マハのほほえみ
19 血と砂
18 カルメン!
17 閉じ込められて
16 禁断の夜話
15 愚かしく美しく
14 血の滴るキャンバスその2
13 血の滴るキャンバス
12 聖なる快楽
11 謎の幻想庭園
10 サド侯爵 二人のヒロイン
09 「幻想交響曲」ある男の妄想と願望
08 SMの行き着くその果ては
07 エロティックな倭人たち
06 呪いのヴァイオリン
05 禁断のオペラ その2
04 禁断のオペラ
03 愛と罪と禁忌と罰と(雷帝イヴァンとその息子イヴァン)
02 青のエロス
01 倒錯した少女ジュリエット
00 ワーグナーが贈る、究極の性愛
 
第19回

血と砂

お久しぶりね!若い日のあたしの恋人!あたしのマタドール!
変わらないのね、黒い瞳も柔らかな髪も。もっと顔を見せて。
あの頃のこと?バカね、もう怒ってなんかいないわ。

だって、あの時あたしからあなたを奪ったあの女、
トーキー映画の傑作「血と砂」のドンニャ・ソルのような鉄の女、
今から思えば、彼女の見事な女っぷりに感服するくらいよ。
そんな女にあなたが選ばれた事、誇りにさえ思っていてよ。

そう。ドンニャ・ソル。ナルディ演じる妖艶な未亡人。
その第1の顔は「完璧な貴婦人」
時には男性と対等に議論を戦わせるほどの教養と、知性、
加えてお洒落もダンスも上手なの。
男が惹かれないわけないわ。

その一方で、「華麗なる精神的殺人者」の称号をあたしが贈るわ。
ルドルフ・ヴァレンチノ演じる闘牛士の花形スター・フアンに、
可愛い妻もエル・マタドール(最高の闘牛士)の称号も失わせ、
さらに彼の真っ直ぐな情熱、優しさという魅力まで吸い取り、
最後は命までも奪ってしまうなんて、大変な凄腕よ。
「私を抱いて!」哀願したかと思うと、
「おいで。あたしだけのマタドール」
演じるナルディがまた、台詞がない分を瞳と腰の動きで魅せるのよ。

フアンが吹き出す血潮ならば、
ドンニャは立ちどころにそれを吸い取る砂。
愛のかけらも優しさの片鱗も持ち合わせない冷酷な人間って
ドンニャだけじゃなく、たまにいるものよ。
ところがそんな人間が美と教養とセンス持ち合わせると、
何もかも失ったフアンを「今のあなたには何の魅力もないわ」
と捨てる場面さえ、そこはかとないエロスを感じるものよ。

それはまるで闘牛そのもののようね。
マタドールは死を覚悟し、トロ(牛)は狂った状態で、
緊迫した死の舞踏を披露するのを人々は見ている。
トロが死を引き伸ばされ、殺される方法が残酷であるほど、
観客は大きな歓声を上げるでしょう?
でもそれだけじゃダメで、マタドールはフラメンコを踊るように
美しく振舞うことだと言うわね。
外見的な美と、死の恐怖。二つが深まれば深まるほど、残酷だわ。

ええ。激烈な死が今堂々と見られて、それも時には人間の、
それに拍手ができる場所なんて、闘牛場くらいでしょうね。

ドンニャはそんな瞬間にいる男をコレクションしてたの。
酒に溺れたフアンを捨てたら、若いマタドールをまた同じように誘惑する。
そしてきっとまた同じように捨てるのよ。
絶望したフアンは酒に酔ったまま闘牛場に出て・・・
そう。ドンニャは明るい才能ある男の、壮絶な死さえも手に入れたのだわ!
ええ。ドンニャは勿論表立った犯罪者ではないわ。
でも、この世で最も罪深い女なのよ。

ところであなた、あのときのあの方はお元気?
・・・まあ。亡くなった・・・あなたの仲間のピカドールに刺されて?そう。
さあ、あなたの最後の試合がもうすぐ始まってよ。
あたし帰るわね。あなたが死ぬかもしれない場面なんて見ていられなくてよ。
ねえ。あの頃、あたしとても幸せだったわ。確かにあなたを愛していたわ。

朝比奈マリー スペイン ロンダ地方にて

2003.10.11


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更新:2013.06.06
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