サロメ幻想

エロティックな巨匠たち
Part1

一見堅苦しいクラシックの世界。でもそこに潜むものは現実よりも官能小説よりもリアルでエロティックな人間の愛憎の姿。古今東西芸術の巨匠達の裏路地にご案内します。

朝比奈マリー

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エロティックな巨匠たち2〜歴史を彩る淫らな女たち〜
歴史を彩る限りなく魅力的なダメ男達!
 

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27 血の王女
26 毛皮を着たヴィーナス
25 サロメ幻想
24 ダナエの吐息
23 復讐のメディア
22 ヴィーナスの謎
21 血の婚礼
20 マハのほほえみ
19 血と砂
18 カルメン!
17 閉じ込められて
16 禁断の夜話
15 愚かしく美しく
14 血の滴るキャンバスその2
13 血の滴るキャンバス
12 聖なる快楽
11 謎の幻想庭園
10 サド侯爵 二人のヒロイン
09 「幻想交響曲」ある男の妄想と願望
08 SMの行き着くその果ては
07 エロティックな倭人たち
06 呪いのヴァイオリン
05 禁断のオペラ その2
04 禁断のオペラ
03 愛と罪と禁忌と罰と(雷帝イヴァンとその息子イヴァン)
02 青のエロス
01 倒錯した少女ジュリエット
00 ワーグナーが贈る、究極の性愛
 
第25回

サロメ幻想

まあ、今夜のオペラハウスは異様に賑やかだこと!
これから始まるリヒャルト・シュトラウスのオペラ「サロメ」は、残酷な劇だってみんな知ってるはずよ。それなのに・・・
人々は着飾って、キャビアで幕前のワインに酔いしれ、笑いさざめく。
まるで公開処刑を競技場に見物しに来る古代ローマ人みたいね。

変な事を言うなって?あら、ごめんなさい。
だってあなただって、このオペラのクライマックスを知ってるでしょ? 
熟れた果実を囓るように、お前の唇を噛んであげる 
・・・ああお前の唇は苦い、血の味がする
全裸のサロメが聖者ヨハネの生首に口づけた挙げ句、その生首を股に挟んで狂乱するのよ。

そんなオペラだから、初演当時は暫く、あちこちで上演禁止のおふれが出たんですってよ。
それはそうよね。不謹慎にも程があるわ。
元の聖書のお話では、母親の操り人形のようなサロメ王女。
それが変態的な性癖と強い意志を持ってしまったのだもの。

うだるような爛熟した夏の夜、刺激を求めて、王宮の井戸に幽閉されたヨハネを見に行くサロメ。 
サロメを呪うヨハネに、執拗に口づけを要求するサロメ
義父王の宴でストリップを披露するサロメ。 
その褒美として、義父王にヨハネの生首をねだるサロメ。
原作のオスカー・ワイルドの戯曲だけでもショッキングなのに、それが更に、不協和音を重ねるシュトラウスの音楽そのものと余りにしっくりきてしまうなんて、とっても罪だと思わない?

不協和音ー聴く者にちっとも心を安らげることを許さないハーモニーは、例えれば、熟しきって微妙に腐り始めた頃の果物。
頽廃的な愛の骸。近親相姦や死体愛好、思春期の危うさ。
死のそのまた向こうの、でも天国じゃない世界。
そんな幻惑的なものを連想させるわ。

サロメがヨハネを求める気持ちもそんな感じで、恋も愛もそのまま通り過ぎて、その向こうの世界。
執着と性が渦巻く森の深いところにいるのよ。

え?恋も知らない16歳の少女がすぐに倒錯するかって?
まあ、あなたったら、女の恐ろしさを知らないのね!

少女や子供ってエロやグロテスクを原型で持ってる生き物よ。
実際、お人形遊びをしている女の子たちの間に入ってご覧なさい。
男の子とお人形と、女の子のお人形とで、それはもう、とんでもない変態遊びをしているものよ。
そう。セックス自体を知らないまでも、ね。
ましてやサロメは叔父に父親を殺され、その叔父が母の夫になり、自分の肉体もまた狙われている、そんな体験をしている少女だわ。
大抵の子はお人形で嗜虐的に遊ぶだけで済むのだけど、彼女の場合は、人間じゃなきゃ気がすまなかったんじゃないかしら。

そんなサロメ役はどんな女優が歌うのかって?
シュトラウスが注文するには、
「少女のような愛らしい風貌を持つ、ドラマティックなソプラノ歌手。
しかもバレエを踊れて、最後には全裸になれること」
世界的にもサロメ役者は、そうそう居ないわ。

あら、幕開けのベルよ。ねえ、少し、シェリーでも飲まないこと?
あたしも同じね、ここに居る人々と。
顔を両手ですっかり覆い隠して、でもその指の間から覗き見したい、そんな欲望を満たしてくれるから、オペラは止められないわ。
いいこと?舞台が開いたらあなた、あたしをしっかり捕まえていてちょうだい。

朝比奈マリー  ウィーンにて

2004.06.20


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更新:2013.06.06
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