血の王女

エロティックな巨匠たち
Part1

一見堅苦しいクラシックの世界。でもそこに潜むものは現実よりも官能小説よりもリアルでエロティックな人間の愛憎の姿。古今東西芸術の巨匠達の裏路地にご案内します。

朝比奈マリー

カテゴリ

エロティックな巨匠たち
Part1
エロティックな巨匠たち2〜歴史を彩る淫らな女たち〜
歴史を彩る限りなく魅力的なダメ男達!
 

ご案内

マガジンの登録と解除

朝比奈マリー自己紹介
あなたもライターになれる
 

Part1過去記事

 

Part2に行く

27 血の王女
26 毛皮を着たヴィーナス
25 サロメ幻想
24 ダナエの吐息
23 復讐のメディア
22 ヴィーナスの謎
21 血の婚礼
20 マハのほほえみ
19 血と砂
18 カルメン!
17 閉じ込められて
16 禁断の夜話
15 愚かしく美しく
14 血の滴るキャンバスその2
13 血の滴るキャンバス
12 聖なる快楽
11 謎の幻想庭園
10 サド侯爵 二人のヒロイン
09 「幻想交響曲」ある男の妄想と願望
08 SMの行き着くその果ては
07 エロティックな倭人たち
06 呪いのヴァイオリン
05 禁断のオペラ その2
04 禁断のオペラ
03 愛と罪と禁忌と罰と(雷帝イヴァンとその息子イヴァン)
02 青のエロス
01 倒錯した少女ジュリエット
00 ワーグナーが贈る、究極の性愛
 
第27回

血の王女

たまには俗世間の噂話でもしましょうか。
あたしがお話しするんだから、75日しか続かないゴシップなんかじゃないわ。
何百年も続いている、とっておきの王室スキャンダルよ。
舞台はこの真昼も暗い森の中に建つこの古城、時代は中世。
この灯ひとつないお城で、それはそれは素晴らしい舞踏会が開かれたんですって。

それは、このお城の王子様と、隣の国の王女様との結婚式のこと。
雪のような肌に、漆黒の髪、血のような真紅の唇、美しい王女様ね。
年齢は7.8歳くらいかしら。まだ少女・・・いいえ幼女だわ。
まあ、中世ではよくあることよね。
あら、余興の見せ物が始まるようよ。
幼い王妃様の何て楽しそうに、狂ったようにお笑いになること・・・

ああ、中央で女性が踊っているわ・・・
官能的なまでに苦悶に顔を歪ませて、でも動きが変ね・・・
ああ!何てこと!真っ赤に焼かれた鉄の靴を履かされていてよ。
これは「踊る赤い靴」という拷問。よく行われていたことよ。
招待客はワインを飲み干し、血の滴る肉を食べながら見物しているわ。

この幼い王妃様の名は「白雪姫」。
そう。七人の小人達と暮らしていた、グリム童話のお姫様よ。
宴の中心の見せ物、隣国の王妃。白雪姫を森に捨てた、彼女の実の母親よ。
そうよ。これがメルヘン「白雪姫」の、クライマックスのシーンなのよ!
狂乱した人々のさざめき声、阿鼻叫喚、
お城から漏れ聞こえるこの激昂した宴会の模様を、
村の人々はどれだけ恐れ、また興味深く聞いていたことでしょうね。

ええ。これがグリムのメルヘン「白雪姫」の初版に本当に書いてあることよ。
それにしても「白雪姫」のお話はこんなはずじゃないって?
でもね、グリム童話は元々、グリムがこの土地の伝承を集めたもので
中でも、女性達に広がっているお話を取材して編纂したんですってよ。

大体、「メルヘン」という言葉自体、怪しいもので、元々「噂」「情報」という意味。
だから、グリム童話の初版というのは
リボンや虹やお花や妖精・・・そんな夢夢とは無縁で、
その土地でどんな人間が何をしたかっていう、事件史のような印象が強いわ。
「白雪姫」は特に、中世の閉ざされた田舎の異常な世界が
読み進ほどに分かって、本当に面白いことよ。

白雪姫の母親は、我が子を捨てるときに連れの者に言うの。
「姫を殺した証拠に、臓器を持っておいで。私が食べるんだから」
この頃、若い娘の臓物を食べたり生き血を啜ったりすると、
若さが蘇るという民間信仰って、
王族の間では何とも手軽に行われていたようね。

七人の小人に関しては、
貧しい炭坑夫とか、隔離されて育てられてる貴族の少年達だとか、
彼らが何であるかの解釈は色々あるけれど、
どれにしても、7人の男と1人の幼女、淫靡な印象が隠せないわよね。

何より白雪姫の救いのヒーローたる王子様!
今じゃあ物語の最後にしか登場しない、影の薄い存在だけど、
これは本当はとんでもない、皇帝ネロにも勝るとも劣らない変態なのよ。
死体の白雪姫を引き取って、仕事の時も狩りの時も、その棺を側に置いて、
夜はその死体を抱きしめて、キスして・・・そして・・・
この王子が、王になったとき、どんな統治が行われていたのかしらね・・・

え?なあに?これは本当にあったことかって?
そうねえ。あたし、やっぱりこれは史実だと思うわ。
確かに、噂話って、過激であるほど広がるし、血なまぐさいほど有効だし、
おまけにセックスが絡まない噂なんて無いから、タチが悪くてよ、本当に。
男の方達は無責任なものだと、よくそう言うわね。え?あなたもそう思うって?

でもね、女って、真実を見抜くという因果な力を神様から授かっているものよ。
根拠や真実味のない噂、男のウソ、そういったものはすぐ見抜くの、
あなたも身に覚え、あるんじゃなくて?
そんな女達が何百年も囁き続けた噂・・・それでもウソだと思って?

さあ。この辺で白状なさい。
あなた、最近あたしに隠れて、何かおいしいものを食べているでしょ?


                    朝比奈マリー ドイツの田園にて
2004.11.17


スポンサード リンク

エロティックな巨匠たち


 

たまごや

アンコールワット世界遺産

ブルゴーニュ通信局

誰でもなれる国際人

知って得する労働法

週刊マナー美人

常識ぽてち

女性のためのクルマ読本

週刊節税美人

ファミレス様、覚悟せよ!

小口輸入支援・販路ドットビズ

お店で買うにはちと恥ずかしい


創刊:2002.10.15
訪問者数:
更新:2013.06.06
デジタルたまごやトップ