コーモリとケータイ

暴言妄言満載の、小さな会社の為の逆説的ギャグ説的IT活用コラム。マニュアル・ファースト開発とは?会社の情報活用力とは?零細建設業の社内SEにして世界唯一無二のITボーゲニストが、今日も考えます。

IT暴言
鈴木正之助

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コラム

59

顧客が本当に必要だったもの〜少し長めのあとがき

58 IT嫌いがIT推進役の条件?
57 壁の壊し方(下)
56 壁の壊し方(中)
55 壁の壊し方(上)
54 ABどっち?
53 見せれば花
52 組織の方程式『P=SΣ』
51 組織と集団
50 いい按配の丼勘定
49 サルでも分かるTOC
48 情報の使い方
47 EとAのあいだ
46 ELSEの男
45 解決方法あれこれ
44 技材よりも人材
43 デザイン・トラウマティック
42 過剰な人たち
41 ニューヨーカーに風鈴を!
40 『自由からの逃走』
39 コーモリとケータイ
38 間接部門と呼ばれる理由
37 フライは誰が捕る?
36 コンピュータは人である!
35 スパゲッティに至る旅路
34 プログラマとオペレータ
33 静かな会議
32 CODE・IS・TATTOO
31 立って座って酒飲んで
30 BEHIND・THE・MASK
29 HOWの賞味期限
28 『頑張らない』
27 考えてる人、頭のいい人。
26 正確という烈しい病
25 振り返る、の巻。
24 MF開発質疑応答
23 内部の話し
22 森を見て木も見る
21 ソウ言エバ式進化論
20 アジャイル・マニュアル
19 <緊急暴言>やってくれるぜNEC!
18 後ろから?前から?
17 ミタイナの翼
16 感動したらゴミ箱へ
15 ナゼ×5=?
14 問題なんて……。
13 とりあえずバイアグラ
12 砂時計にサヨウナラ
11 『 2:8 = 8:2 』(開発コストを1/5にする方法?)
10 手書きのチカラ
09 脱税の出来るシステムとは?
08 ソリューションはイリュージョン(解決策など幻想)
07 帳票はセルフサービスで
06 パンツ、ズボン、コート
05 いつまでたってもプロトタイプ
04 野球のルールは難しい
03 機械なんて至らないもの
02 ブラジャー選びに要求定義を学ぶ
01 建売住宅にカラオケルームは付くか?
00

Tことわざ・システム屋システム持たず

 
 

IT暴言

第39回

コーモリとケータイ


私の両親、戦中派のロートル夫婦です。生活習慣病にも負けず、2人手を取り合い、しぶとく生きております。が、息子の私から見ると、どうにも我慢ならん、とても恥ずかしいことがあるのです。それは言葉使い。

「おお、正之助。雲行きが怪しいから、コーモリを持って出たほうがええド。」

今時、コーモリはないでしょう。大体この21世紀に、『こうもり傘』以外の傘がありますかっての。『傘』と言えば十分な時代に、コーモリと叫び続けてしまう老年2人。習慣とはこれほどまでに恐ろしいものなのです。もしも石頭の息子が、文字通り『こうもり(BAT)』を連れて外出したら、笑えますな。

言葉は転じる。同じ言葉で話していても、指す意味が同じ保証などありません。異人種と会話するSE職において、笑っちゃうほど悩まされてしまうのが、この言葉の問題なのです。コーモリは、どこの会社にも必ず隠れています。

とある金融機関の貸付管理システムでの話し。『査定』という言葉が、どうもしっくりこない。打ち合わせでも、意味の通っていない妙な感じがする。思い切って確認してみたところ、全く違う意味で使っていることが分かりました。

私は、『価値』という意味で使っていました。例えば――100万円で買ったモノが今は60万円の値打ちしかなかった――といった場合、私は『60万円』を『査定』と呼んでいました。常識的に考えればそうです。でも、そこの会社は違いました。なんと『40万円』を『査定』と呼ぶのだそうです。

驚きました。正しい言い方をすれば、『査定減額』です。査定した結果、当初の金額からいくら減らしたか。『40万円』が『査定減額』です。『査定』と言ったら、普通は『60万円』の方。しかし、そこではそれが通じない。

日本語の特性なのでしょうか。長ったらしい用語から、前方の修飾語だけ独立させてしまう使い方。当初は『査定減額』と呼んでいても、面倒くさいからと『査定』に短縮させてしまう。『こうもり傘』も『コーモリ』に変えてしまう。最近の例では、『ケータイ』があります。正しくは『携帯電話』なのに……。ケータイだけじゃ、何を携帯するのか、分からんではないか。

転調してしまった言葉の意味を取り違えたまま開発に入ると、後々、大きな問題になります。大規模プロジェクトの場合、初期の段階で『業務用語集』を作成しますが、それは言葉使いを精密化し、意志の疎通を確実にする為です。

システムの開発を他人に依頼する時、事前にきちんとした用語集を作っておくことは、馬鹿に出来ない作業です。しかし、これはなかなか難しい。これが出来るなら開発者です。なぜなら、言葉使いは、習慣化しているものだから。普段は考えない『常識』を、論理的に言葉で再定義する力が必要です。

いまだに私の両親が『コーモリ』と言ってしまうように、当人には気付き難いことなのです。事実、「一般的には『査定減額』ですよ」と私がやんわり指摘したところで、ユーザーは頑として改めようとはしませんでした。「ウチじゃ査定と言うのだ、文句あっか!」。要するに、「外部のSEに何が分かる」といった感情論でした。頑固なところが私の両親と一緒だな、と私は諦めました。

まあ、意味さえ間違わなければ、システムは開発出来ます。しかし、コーモリのいる会社は、新入社員も業務の理解に難儀するはずです。なので、たまには『業務用語の棚卸し』をしてみることを、私はオススメします。用語集を作るなら、習慣化していない新人にやらせてみるのがベストです。覚えたことをまとめさせ、それを社内で共有する。システム化以前の、準備運動に最適ですね。

「(飲み屋にて)正之助サ〜ン、けーたいノ、番号ヲ、教エテ欲シイノヨ。」
「ゴメンね。オレ、ケータイは持ってないんだ(携帯電話ならあるけど)。」

何事も、イキナリは失敗しやすい。フィリピンレディー達も、分かったかな?

2003.08.19

鈴木正之助

※記述が古い場合があります。自己責任にてご利用ください。

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創刊:2002.10.20
更新:2013.06.06
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