離婚から南半球 -水島 心-

先に離婚を口にしたのは私の方。でもそれは本当に別れたかったわけじゃなくて、相手にされたい気にかけて欲しいという気持ちからだった。2年目の結婚記念日の離婚話から南半球への海外逃亡に至るまでの激動の物語。

離婚から南半球|オーストラリア

マガジン発行履歴
水島 心自己紹介
ライター募集

水島 心の新着 エッセイ

08

2年後(最終回)

07

選択肢

06

言葉のトゲ

05

占い

04

友達

03

堂々巡り

02

ハッピーアニバーサリー

01

結婚記念日

 

更新日:2008/11/19

 

訪問者数:

 

創刊:2004/10/05

  デジタルたまごやトップ

第2回

ハッピーアニバーサリー


日曜日。7時半に予約したディナーに遅れないよう、6時半には家を出た。もちろん、夫と私、家を出るときから一緒。この3日間、ぎくしゃくしながらもお互い普段通りに過ごすよう心掛けていたというかんじだった。電車の中での時間はその延長のように、当り障りのない会話で過ごした。

私の中では、ストーリーが準備されていた。レストランに着いたら、まずドリンクをオーダーする。そして、この前はバカなことを言い出してごめんなさい。これからも二人で生きていきたい。と話して、仲直りの乾杯をしよう。今まで、一度の喧嘩もしたことがなく、時々かんしゃくを起こす私を夫がなだめる、という関係だったから、今回はいつもよりシリアスだったけれど、時にはスパイスも必要だし、と思った。

案内された席に置かれていた風船には「Happy Anniversary」と書かれていた。それを見たら、ちゃんと話をする勇気が湧いてきた。スパークリングワインをオーダーして、早速話を切り出した。

「この前のことだけど…。」
「いや、それは食べた後にしよう。」
「ううん、でも私言い過ぎたと思って。これからも一緒に、って思って。」
「俺もあれからいろいろ考えた。俺達、合ってなかったんだって分ったんだよ。」
「え、でも、私は別れたくないって分ったんだよ。」
「だから、その話はディナーの後にしよう。」

料理の味は全く分らなかった。レストランのサービスで、ポラロイドカメラで記念撮影をしてくれたが、二人の間には距離があり、微妙な表情が並んでいた。重苦しい空気が流れる中、無言で食べるフルコースは果てしなく続くように思えた。

ようやくデザートまで辿り着いたとき、かわいらしく盛り付けられたケーキを突付きながら、夫が言った。

「だから、食べてから話した方がいいって言ったんだ。せっかくの料理が全然うまくなかっただろ。」
「味、分らなかった。」
「…俺達、結婚相手を間違えたんだと思う。どっちが悪いとかじゃなくてさ。」
「そんなことないよ!私、わがまま過ぎたと思うの。あなたが疲れていることは分っているのに、自分のことばかり考えてたと思う。これから習い事でもしようかと思って。一人の時間が長すぎたと思うの。もちろん、家事はちゃんとするよ。」
「違うんだ。間違っていたんだよ。気付いたんだよ。」

何を言っても無駄だった。彼の中で答えが出ているらしい。
話は平行線のまま、レストランを後にした。

2004.10.12

スポンサード リンク

離婚から南半球


 

気になるサイト

-フランス-

ブルゴーニュ通信局

-アセアン-

誰でもなれる国際人


お店で買うにはちと恥ずかしい

四柱推命による人生相談

小口輸入支援・販路ドットビズ


週刊マナー美人

常識ぽてち

女性のためのクルマ読本

週刊節税美人

知って得する労働法