離婚から南半球 -水島 心-

先に離婚を口にしたのは私の方。でもそれは本当に別れたかったわけじゃなくて、相手にされたい気にかけて欲しいという気持ちからだった。2年目の結婚記念日の離婚話から南半球への海外逃亡に至るまでの激動の物語。

離婚から南半球|オーストラリア

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更新日:2008/11/19

 

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第6回

言葉のトゲ


どうして夜になると、次々と悪い考えが浮かんでくるのだろうか。ベッドに入って暗闇を見つめていると、無意識のうちに不幸の原因を探し始めて頭が冴え、どんなに待っても眠気は戻ってこなくなる。ある夜、夫が離婚を考えたのは、彼の両親が離婚しているせいだと思った。両親の離婚という経験が、彼の中で「離婚」というものを身近な存在にしたのだ、と。

その考えは、翌朝起きても頭の中に残っていて、その後も頭から離れなかった。ある日、また発作の様にどうしようもない怒りと悲しみが込み上げ、その気持ちを、畳み掛けの洗濯物と一緒に夫にぶつけた。

「何がだめなの?私が何をしたの?どうしてこんな目に遭わなければいけないの?」

「ごめんな。俺が悪いんだ。でも、どうしようもない。」

「親が離婚した人は、同じようになっちゃうんだわ。あなたのお父さんとお母さん、なんで離婚したか知らないでしょ。だから、どうすればいいのか分らないんだわ。」

夫は返事をしなかった。私は、言ってはいけないことを言ってしまったと思った。

謝った方がいいと思ったけど何も言えず、そのかわりに泣き続けた。私は酔うと、いつもあまり感情を表に出さない夫を無性に傷つけたくなって、きつい言葉をぶつけてしまうことがあった。彼は、酔って絡むくらい別にいいけど、一緒にいる人に「かわいそう」という目で見られるとどうしていいか分らないから困る。と言っていた。

私の投げた小さな言葉のトゲは夫の体中に刺さっていて、それが心臓に届いて、痛かったことに気付いてしまったんだ。少し痛かったけど大したことない、と無視していたのかも。

そして、今日もまた。最初に離婚したいと言ってしまったときと同じ。口に出してしまったことを、引っ込めることはできない。また、後悔した。本当のところは、未だに分らない。夫が傷ついていたのか、気に止めてもいなかったのか。

でも、私の眠れない夜は続いた。悲しみと、後悔と、怒りがごちゃまぜになって胸の真中に詰まって苦しくて眠れない。夫が私を抱くことはもうなかったけれど、寝付かれない私に腕枕をしてくれることはあった。腕枕は心地よかった。別れたいと思っているのに、どうしてこんなに優しくできるのだろう。

本当は、私のために別れようとしているのかも。家庭に閉じこもって不満をもらしている私を自由にしてやろうと思っているのかも。そう考えておかしくなった。私はなんてうぬぼれが強いんだろう。そんな訳ない。

夫が優しいのは、私がヒステリーを起こさないように気をつけているだけだ。揉め事が嫌いだから。結局は自分のため。優しいのではなく、臆病なだけ。悪者になりたくないだけ。でも、そんな風にされたら、いつまでも諦められない。私のことを思うなら、本当に別れたいなら、もっと突き放してくれればいいのに。

2004.12.10

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