主婦のメルトモ事情3 -桜木愛依-

3人の子供を育てながら、学校のPTAの役員まで引き受ける30代後半、医療系パート派遣社員の主婦のワタシ。メールから恋に落ちた彼らのこと、出会い系サイトで出会ったメルトモの殿方との色んな事を、赤裸々に包み隠さず語 ります。

主婦のメルトモ事情

はっぱ

主婦のメルトモ事情Part1
by 月野ルナ

はっぱ

主婦のメルトモ事情Part2
by 佐原天希

はっぱ

主婦のメルトモ事情Part3
by 桜木愛依

桜木愛依

発行部数

桜木愛依自己紹介
あなたもライターになれる

9 過ち2(最終回)
8 過ち1
7 セフレな人
6 ギャップ
5 結ばれた夜
4 2人の距離
3 愛しい人
2 恋の予感
1 初めてのメール

第2回

恋の予感


すぐに姑に電話をして、明日夕方子守りにきてもらう事にする。
姑には「仕事の打ち合わせ」と嘘をついた。
私にとっては姑は実母以上の存在。気を使わなくていい。
快い返事を貰ったので、承諾の返事を先生に送信した。
メールが返ってきた。
「17時30分に病院から西へ50mほど行った郵便局の前に車を停めます」
…他には何も問いただす事は無かった。

次の日、仕事をそこそこに切り上げ、帰宅し、子供を幼稚園に迎えに行き、早めに夕食を作り、子守りの姑が来るのを待つ。
17時過ぎに姑が家に来て、入れ替わりに私は出かけた。
私の自宅から職場の病院までは徒歩12.3分。
普段自転車通勤なのだが、歩いて病院へ向かう。
時間より少し早く待ち合わせ場所に行くと、先生はすでに来ていた。
車に乗るように促され、助手席に座った。
開口一番「3人子供がいるんだってね…。貴女の勤め先の部署の看護婦さんに休み時間に聞いたよ。」

車で10分ほど行ったところの雰囲気の良いカフェでコーヒーを飲んだ。
先生が言った。
「ホテルで見かけたときは20代半ばの独身の女の子かと思った。
まさか結婚して3人も子供がいるなんて…でも自然光で見ると年相応だね。」
失礼な!とは思いながら、何も語らず、先に頂いたCDを見つめた。
CDのジャケットに綺麗にレイアウトされた私の写真。
PCを使用しての細かい作業が好きだという。
あと、先日学会に行ったからと、旅先のお土産もくれた。
ガラス細工の可愛い一輪挿し。
男性にプレゼントを貰うなんて何年ぶりだろう…?

普段のメールのやり取りでは色んな話を書いてはいたけれど、実際外で会って、2人きりで向かい合い話をしても、何故かそれ以上、会話が進まなかった。
何でだろう?メールの中の先生と現実の先生ではギャップは無いのに、言葉が出てこない。

20分ほどでカフェを出て、自宅の近くまで送って貰った。
先生の自宅は病院から、丁度私の自宅の前の道を通り、15分くらいのところ。
お礼を言って自宅に帰った。
家を出てから1時間と少し。18時15分には家に着いた。
姑に来てもらうほどの時間ではなかった。
1時間くらいの留守番なら子供3人だけでも出来る。

とりあえずお礼のメールだけは送ろうと、子供達が寝付いてから、PCを開く。
先生が編集した音楽のCDもかけてみた。2人の女性の洋楽アーティストの曲がランダムに入っている。
先生のセンスのよさが伺える。
でも、これ以上お会いすることも事は無いだろうと、ありきたりのお礼のメールを送った。
先生も丁度メールチェックしていたのかすぐに返事が返ってきた。
「2人で顔を合わせて話をして、年甲斐も無く緊張しました。
…これから何か起こりそうな予感がしませんか?貴女の事が気にかかります。」

「??何かが起こるって何が…??
気にかかるって?勝手に20代半ばと勘違いして年相応の30代だって落胆してたじゃない??」
と、言う内容のメールを呆れ半分で書いた。
「ゴメンなさい。どうも女性に自分の気持ちを言葉にして表現するのが苦手のようです。
気分害されたでしょう。これに懲りずにお付き合いくださいね。」
と、返ってきた。
少し笑えた。相変わらず真面目。
「いいですよ。またお会いしましょうね。」
と、返事した。

それからというもの、先生と私は再びたわいも無い話を毎日やり取りした。
先生からのメールのチェックをするのが待ち遠しくて仕方が無かった。

ある日、私は簡単な履歴書みたいなものを書いて送信した。
それこそ家族、学歴、職歴、資格などを列記して。
何で急に?と言う、先生からの疑問のメールを貰ったけど、色んな面の私を知ってほしいからと答えた。
それに対して返ってきた先生のメールは、それはそれはビックリするくらいの履歴書を通り越して「自分史」のような物だった。
プリントアウトしてA4サイズ4枚にびっしり。

読んでいて涙が出てきた。
家族構成、学歴、職歴、資格や生い立ちのあと、医大を目指して受験したところからが壮絶だった。
希望の大学には入れなかった事。
医大に合格してからの実習などの過程における挫折感。
ストレスにより、1年休学した事、研修医になっても血を見るのが怖くて逃げ出したかった事など。
今まで内に秘めていたありとあらゆる事を告白した形になっていた。
普段、勤務先の病院で、風の噂で聞く、先生の華やかな表の部分とは裏腹に深い闇の部分を抱えていた事を知り、また、私にしか語った事は無いしこれからも誰にも言うこともないから絶対口外しないと約束してと言う
メールを読んで、誰も知らない先生の事を私だけが知っていて、同じ痛みを共有しているような気がした。

そんなメールを読んでるうちに、私も同じように自分の心の奥底にあるものを先生に知ってほしくて、同じように「自分史」を書いて送った。
私の人生もまた、決して平坦なものではなかった。
父の借金、異性関係のトラブル、両親の不仲から逃避するための早婚。
年上夫の自己破産など、他人に語った事は無く、幼少の頃からの母の過保護によるものから自分を抑える事を学び、結婚してからも、自分の親の延長のような夫に対して、自分の気持ちを上手く表出する事が出来なくなっていた私が生まれて初めて本音を語れる相手が先生だった。
私からのメールを読んで先生は、かなり驚いていたけど、
「同情はしないけど、共感は出来る。これからも何かあったら相談に乗るから何でも話してね。」と、返事をくれた。
嬉しかった。自分をはじめて丸ごと受け入れてくれる人がいる。
そんな先生が、今度会ったときに私に対して言ってあげたい事としてあげたい事があると言って文章を結んでいた。

「言ってあげたい事、してあげたい事ってなんだろう…」
今度会うのは3日後の週末。
指折り楽しみにした。

2004.07.05

桜木愛依



 

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創刊:2004.06.01
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更新:2011.02.16
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