夏奈子の動物記 by 御厨 夏奈子

夏奈子の動物記
可愛いペットや野生動物、家畜から実験動物など、動物の不思議な生態や動物をとりまく社会事情、話題のアニマルセラピーのことなど、動物との心温まる話や笑える話などを交えておおくりします。

キーワード:自由,根気,短気,やる気,犬好き,旅好き,B型

御厨夏奈子の動物コラム

6 ハムスターのはなし(1)
5 動物霊のはなし
4 実験動物のはなし
3 お年寄りと動物−3−
2 お年寄りと動物−2−
1 お年寄りと動物
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創刊:2002.10.15
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更新:2008.11.19
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第4回

実験動物のはなし


「やっぱり、ああいうのは動物というより物としてとらえた方がいいのかな。」

実験補助の仕事をしていて、職場で動物実験が始まり、初めてマウスの解剖を目の当たりにした人の口から出た言葉です。私は、「それは絶対ちがう!」と反射的に言っていました。「こっちはマウスの命をもらって実験してるんだから、その分生きている間は動物として見ていろいろ気をつかってあげないといけないんだよ。」

動物実験というと、よく本やネットで、学術的にもたいして意味のないことのために動物に残酷なことをしている例が紹介されています。そんな動物実験はもちろんなくすべきで、できないような制度があってほしいと思いますが、大半の動物実験はちゃんとした意味を持って行われています。大学にいて勉強したり研究する立場に立っているとそれがよく分かります。

例えば、健康な動物の解剖。なぜそんなことをするのか、私自身ずっと分からずにいましたが、実際に解剖をするときになってその意味を教わりました。におい・温度・触感など、本物でないと分からないことが沢山あるからです。そして健康な状態の動物を分かっていないと、異常も見分けられないからです。ある国立大学の獣医学科で解剖実習をする日に、ある愛護団体が止めに入ったというウワサを聞きました。そうすることが本当に動物の為になるのか、人の為になるのか疑問に思いました。

とはいえ、やはり実験のために動物の命を奪ったり体を傷つけてしまうのはかわいそうなことです。動物はいつも生きることに真剣です。実験する側も同じくらい真剣に取り組むことが何よりの供養で、犠牲になる数を減らす近道だと思います。実験のために狭いところに閉じ込めたり、傷つけてしまうのは仕方がない。でも自分がつらいからといって彼らから目をそらすのが一番いけないことです。だからこそ、毎日よく様子をみて、できる範囲で快適な環境をつくってあげる。実験以外のことで苦しまないように気をつけてあげることが大切です。そうすればきっと動物の側も応えてくれて、研究もはかどるような気がします。

私の所属する研究室でも、実験のためにヤギや羊など様々な動物を飼っています。その1頭1頭に名前がついています。(もちろん発表したり実験するときには1番のヤギ、2番のヤギというふうになりますが。)ヤギのゴンは、実験のためにお腹に穴があけられています。ペットボトルのキャップのようなフタをはずすと、直接第一胃につながっています。この装置をつける手術の後、何度も重体になって死にかけたそうです。その度に、先輩たちの「絶対実験のせいで死なせたりしない。」という想いと努力のおかげで回復し、今では私たちと変わらない年(20歳くらい)の元気なおじいちゃんヤギになりました。そして買ってくる乾燥を嫌い、毎日私たちにその辺から生草を刈り集めてこさせるというわがままおじいちゃんっぷりを発揮しています。

また、ある日研究室に電話がかかってきました。「お宅の綿羊が逃げ出してそば食ってるんだけど・・・」最初意味がわかりませんでした。そば?そういえば、実験中の動物を実験動物棟の中で飼っているほかに、実験に関係ないヤギや羊を外で柵で囲って飼っているのですが、その柵の外の畑でそばが栽培されていた。羊が逃げ出して畑のそばを食べている・・・?でも羊のまわりの柵は丈夫で、逃げ出すなんてありえないのに。 混乱しながらみんなでかけつけると、そこには実験動物棟で飼われている羊のジョー君と、ジョー君で卒論を書いている先輩が。先輩に事情を話すと、「散歩してたんだよ。なんか誤解されちゃったみたいだね。ごめんね。」という答えがかえってきました。先輩は、よく実験動物棟からジョー君を連れ出して散歩をしていたそうです。ジョー君の首には犬の散歩用のリードがついていましたが、ジョー君は一頭で自由に歩き回って落ち葉を食べていました。

とりあえず羊が逃げ出したわけではないということで、一安心。それから、白衣もオレンジ色に染めてしまうほどの夕日の下、みんなで実験動物棟にむかって歩きました。ジョー君のリードは誰も持っていません。ジョー君はみんなの少し前を歩いて、私たちを先導するように自分から動物棟に向かっていました。ジョー君のお腹でもゴンと同じ装置が揺れていましたが、当の本人は気にする様子もなく、一度夕日を見て、その後はよそ見もせず家路をたどっていました。

いつか動物実験がなくなる日がくるといいなと思います。でもそんな日はなかなか来ないのが現実です。だったら、実験動物ともうまく付き合っていきたい。今、私たちにできる範囲で。ちょうど今、コンパニオンアニマルという言葉が浸透してきてペットと人の関係が見直されているように、私たちのために命をかけてくれている動物にも、もっと光を当てたい。それができる日は、遠い未来の話じゃない気がします。

2003.01.14
御厨夏奈子

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