万能の神!もうたくさんです! by 日野原公路

万能の神!もうたくさんです!
時代の閉塞感の中で何とか生きて行かなくてはいけない私達。このメールマガジンは、そうした泥沼の中を生き抜く私達のためのいわば暗黒の「天声人語」になればと思います。一筋の光が見えますかどうか、さて?

キーワード:サブカルチャー,B級,本音,消費文化,不幸,政治,行政

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創刊:2001.01.05
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更新:2011.02.16
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第2回

不幸だった人達が書いた本について


このところのベストセラーを見てみると、元風俗嬢の半生や元極道の妻のサクセスストーリなど地獄の底からはい上がってきた人達が書いたものが多い。そういった類の本はいうまでもなく、自分が今まで如何に最低な人生を送り、それを克服し現在に至っているかという本のようだ。

 ここで「〜ようだ」と言う言葉を使ったのは、私が実際に読んでないからである。こういうことを書くと実際に読んでもいないのに、文句をつけるなというお叱りが飛んできそうである。

 しかしながら、私はどうも手に取って読む気にはなれない。その理由は簡単である。それは私がそうした血と汗と涙とはあまり縁がない人生を送っているからである。仮に私がそうしたものに手を伸ばして読んだとすると、その人達の並々ならぬ努力に恐縮してしまい、自分の人生のいい加減さや平々凡々さに恥ずかしくて悶死してしまうかもしれない。

 しかしながら、頑張る人達の半生記を読んだ人はその後どうするのだろう。私も同じような体験をしたいと思って風俗嬢や極道の妻になるという人はまずいない。現在置かれている状況を打破してやると鼓舞される人はまあ何人かいるだろう。ほとんどの人達は、幾ばくかの興奮の後、再び平々凡々とした日常生活に戻るのである。そうした平々凡々の日常生活を送っている人は、地獄の苦しみを味わった人というのに結構弱かったりする。それは水戸黄門の印籠が放つ神々しさに近いものがあるかもしれない。

 その類の本が売れる理由は、中途半端に幸せな人達が、いわゆる不幸な人生を送っている人に対するある種の後ろめたさを振り払うためでもあると思う。もちろん、そうしたことを考えながら本屋さんでお金を払う人はいない。しかし、読んでいくに従って、その人生のなかに悲しみが満ちあふれるのを期待するようになる。また、この手の著者も自分の人生がいかに大変かを分かってもらいたくて筆を執っている。読み手はその悲しみに共感することで免罪符を得て、書き手は自分の体験が何よりも大切なことだというように語る。こうした中途半端に幸せな人達と本当に不幸な人達のいかがわしい共犯関係を感じさせる部分が、私のこの手の本を読まないもう一つの理由である。

2001.01.12
日野原公路

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