エンタメギョーカイ事件帖 by あおいさんご

エンタメギョーカイ事件帖

現役クリエイターがテレビや映画、演劇などメディアの現場で見聞きしたことを生々しくリアルに紹介。エンターテイメントに興味ある人だけでなく業界人を目指す人にも幅広く参考になります。真実だからこそ面白い、エンタメギョーカイ事件帖。

キーワード:映画,演劇,テレビ,シナリオ,企画制作,自主映画,俳優,オーディション

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創刊:2003.05.03
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更新:2008.11.20
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第6回

漫画家、原作者、編集者


マンガをよく読む人なら説明するまでもないだろうけれど、マンガの中にはときどき「原作」と「作画」が別になっていることがある。いわゆる共作という関係になるが、実際に原作者と漫画家が会って話を進めているヒマなどないから、必然コミュニケーション不足。いろいろと面倒な事態に陥ることがある。まあ、マンガに限ったことではないが。

今回は、そんな複雑な関係に巻き込まれたぼくの実体験。

ぼくは映画のシナリオを書いたりしている。まだまだ新米なのでこれと自慢できる作品はないけれど、内容に自信のあるものは媒体を問わずいろいろなところに営業をかけていて、その一つが、角川書店だった。これは、慎重に選んだ結果で、思った通り、反応はとてもよかった。

持ち込んだのはいわゆるサスペンス映画のシナリオで、映画化の実現はなかなか難しいのは目に見えていた。なので、マンガとして単行本発売。それに加えてノベライズが発売という展開を仕掛けて、売り込もうと考えていたのだ。

角川書店には「月刊ミステリーDX」というマンガ誌がある。実をいうと講談社の「少年マガジン」という雑誌編集部にも見てもらったが、内容的にはこのマンガ雑誌が適しているだろうという判断を頂戴した。それで気を良くした単純なぼくは原稿をまとめて角川書店へ郵送したわけだった。

上記の通り、反応はとてもよかった。けれど、漫画化はそう簡単に話が進まなかった。ぼくはもとより焦らないことにしていたが、日々の仕事に追われて忘れかけ始めた半年後、7月になって、突然連絡が来た。

「この作品を漫画化します」

要するに編集部の方針が変わったということだ。それまで「ミステリーDX」は著名推理作家の小説を原作としてマンガにすることが多かったが、発掘する気が出てきた。それで、ぼくのところに連絡が来たのだ。

聞いた瞬間は嬉しかったが、スケジュールを聞いてみると半信半疑になった。発売は8月6日であるというが、電話をいただいたときはすでに7月も20日になろうとしていた。普通の雑誌なら校正に入っている頃だ。それなのに、ネ?(コマ割や物語構成の下書き)もできていないという。翌週23日にはネームを見て確認してください、と編集者はいった。

間に合うのか? とぼくは思った。だが、ネームは、さらに一週間遅れてやっと手許に届いた。29日のことだ。つい先日である。しかも半分くらいが台詞しかないほぼ白紙。その上もっと驚いたことには、ぼくのシナリオの面影は、ほとんどなかったのである。人物名も、設定も、台詞も、オチ(コレが一番重要。ミステリなんだから)もすっかり違う。隣で読んでいたぼくのパートナーはぽつり、

「こんな話だったっけ?」

その日の夜、編集者と電話で話した。「これでは原作じゃないですよね」ぼくと編集者の意見は同じだった。どういう対応にしましょうかと尋ねると、「原案ということにしてタイトルを抜くか、サブタイトルに入れるかですね」編集者はいった。

今後の展開を考えるとシナリオの存在は臭わさない方が得策に違いなかった。ほとんど別物なのだから、今後新たに漫画化をすることも可能だからだ。答えは出た。ぼくの名前は原案のみ。タイトルは抜いてオリジナル作品へのアイデア提供ということに。

ぼくは愕然としたが、冒頭に書いたように、コミュニケーションが不足しているから仕方がないともいえる。発売まで残り2週間というところで話が纏まって制作に入るのだから、月刊誌とはいえ、一週間弱で80ページを描こうという漫画家の事情を考えると、事故だと思わざるを得ない。

聞いてみると、マンガ雑誌というのは大抵こんなタイトなスケジュールをこなしているものらしいが、なにぶんはじめての経験なのでぼくはすっかりわからなかった。まだ月刊誌だから余裕はある方なのだろう。これが週刊誌だったら・・と思うとぞっとする。

とまれ、こんな裏事情があって発売になる月刊ミステリーDX。8月6日には店頭に並ぶので立ち読みでもしてみてほしい。漫画家は忍野慶殊。原案は・・本名なので誌面で確認してください、ということで。

2003.08.05
あおいさんご

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