はたちこらむ -野原かりん-

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since2000.09.01

野原かりん「はたち」・・・が思うところを書いています。静かに見える火口湖も、その地中深くには熱いマグマが躍動しています。揺れては止まりまた揺れる・・胸の鼓動を感じ取ってください

キーワード:女性,人生,哲学,バイト,男性観,恋愛,悪知恵,学校生活,旅行,穏やか系

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野原かりん自己紹介

ライター募集

コラム

13 最終号
12 ショ−ト・ホ-ムスティ
11 失敗
10 高額な授業料
9 食べることが大好きな私
8 文化と歴史の十字路
7 知らない人と
6 誇り
5 節約生活
4 弱くなったお父さんとお母さん
3 やっと起きた私
2 お金の貯め方
1 シブイ男

第12回

ショ−ト・ホ-ムスティ


たかが英語だと思っていた。しかし、されど英語だった。

先日、従姉妹が住んでいるアメリカのピッツバ−グへひとりで行ってきた。出発当日の朝、起きたらのどが痛くて、絶対に避けたかったカゼが私の体を襲っていた。 学校を休むのとはワケが違う。のど飴をなめたり、生姜湯を飲んだり(カゼのひきはじめには生姜湯がすごくいい。運がよければカゼを食い止めれるので一度お試しあれ)しながら「絶対行くぞ」と気持ちを高ぶらせていた。しかし、寒気までしてきて最悪の旅が予想された。

飛行機に乗ると同時にあのでかいス−ツケ−スを延々と空港まで運んだ疲れが一気に出てカゼでぼ-っとする頭を窓につけ、毛布をかぶり、眠りこんでしまった。機内食を写真に撮ったり、窓の外の景色を見ながらこれからの旅を予想するのがささやかな楽しみなのに、そういうことすらできなかった。鼻水が滝のように流れてきてティッシュは山のようにたまるわ、鼻の下はもう触るだけでも痛くなっていた。からだ中がだるくて熱かった。スチュワ−デスのお姉さんが持ってきてくれる機内サ−ビスの水が飲みたかったのに、寝ているからといって無視された。日本人のお姉さんなら「すみません!」と言えたのに、アメリカ人だったため「エクスキュ−ズミ−!」とは人目が気になり言えなかった。カゼひいてると気が弱くなり、「エクスキュ−ズミ−」にも相当な努力と勇気が必要になるのである。それに日本の航空会社のスチュワ−デスだったら起こしてくれるようなものをさすがアバウト、米系航空。寝ているからといってトントンもしてくれず無視されるなんて、ついてないわい。

と、ポケットティッシュ10個を全部使い切ってしまいトイレでまでティッシュペ−パ−を調達してこなければならなかった13時間の長旅はなんとか乗り切った。しかし税関では運悪く、よく質問する兄ちゃんにあたってしまってもうしんどくて従姉妹ん家で眠りにつきたいのに、とどめがさされたようだった。 「どうして一人なのか」「誰のところに行くのか」と、聞き取りはなんとかできるが答えられない。中高と文法英語のみを教えられてきた私はその場に応じて流しながら話すことができなかった。えっと、主語はIで、とか、理由を聞かれたらBecauseからで、とか真剣に悩んでしまったのだ。それに大学3年間何も勉強していなかったのがたたり、「従姉妹は英語でカズン」ということもど忘れしていたのである。「従姉妹のところに行く」の「従姉妹」を一生懸命に「私の母と彼女の母が姉妹です。ということは、私と彼女は・・・・・」と中学校1年生並の英語を熱で顔を真っ赤にしながら、たどたどしく答えてきたのである。机上に指で家系図まで書いて説明した。「カズン?」と兄ちゃんが言ってくれ「オ-、イェス、カズン、カズン!」と今思うと大げさすぎるくらいに笑い、ああ、もうそろそろ英語が話せないこのかわいいジャパニ−ズに免じて逃がしてくれよ・・・と思いながらかれこれ10分くらい税関で質問攻めにあったのである。ふと気づくとたくさんいた入国審査待ちの人間が誰もいなかった。この兄ちゃんにおちょくられていたと考えようによっては考えられる。

ちなみにその時の私の格好と言えば、ティッシュを鼻に詰めている状態であった。

カゼ&長旅&おちょくられ&鼻ティッシュで、私はへとへとになりながらカズンとなつかしの再会を果たしたのであった。

2000.11.19
野原かりん

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