サクラジロウことだま放浪記

全ての答えはことわざの中のある。真理は名言のなかにある。長い時代を生き抜いた言葉には何か不思議な力があるのです。1つのことわざに1つのエピソード。不思議主人公サクラジロウが織りなす言霊の真実。

サクラジロウ

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サクラジロウ自己紹介

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サクラジロウ
ことだま放浪記

19 終わりを始めに慎む
18 良い内から養生
17 不幸は決して単独ではこない
16 灯台下暗し
15 人は見かけによらぬもの
14 恋は思案の外
13 人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し
12 盆を戴きて天を望む
11 年寄りの言う事と牛の鞦(しりがい)は外れない
10 上戸は毒を知らず 下戸は薬を知らず
9 すずめ百まで踊り忘れず
8 禍福はあざなえる縄のごとし(後編)
7 禍福はあざなえる縄のごとし(前編)
6 年々歳々花相似たり 歳々年々人同じからず
5 人間万事、塞翁が馬
4 春眠 暁を覚えず
3 焼け野のキギス夜の鶴

2

虎口を逃れて、竜穴に入る

1

袖すり合うも他生の縁

0

己の欲せざる所は、人に施すことなかれ

第3回

焼け野のキギス夜の鶴


 「九州男児」と聞いて、どういうイメージを多くの人はいだくのだろうか・・・
 たぶんー亭主関白・骨太・無口・頑固・不器用
・短気・強情・男尊女卑・男気があり情に固い・焼酎をお茶代わりに飲む・眉毛が濃い・顔も濃い・・・・などなどがあがるだろう。
 結構、良いイメージも多い。
 しかし、残念ながら、そんな男気や勇気を寡黙な背中に秘めた九州男児は絶滅しつつある。

 サクラジロウの父は良くも悪くも九州男児というイメージがそのまま、服を着て歩いているような人だった。
 
 母が話しかけても『ああ・・』とか『うん・・』としか答えない。
『あれ・・』『それ・・』とほとんどの会話は指示代名詞で間に合う。
焼酎を飲みながら、いつもNHKばかりを見ている。
空手を長年やっていたせいか、口よりも、手よりも先に足がでる。
そのきれいな、まわしげりはサクラジロウの目の奥にしっかりとやきついている。

 しかし夫婦とは良く出来ているもので、逆に母はにぎやかで、いつも家庭を太陽のように照らしている存在だった。
 一歩下がって、弾よけにする・・・そんなしたたかさも持ち合わせた母であった。

 ある時期、友達で沖縄のダイバーが、サクラジロウの家に一ヶ月ほど居候していたことがある。
 彼はオフシーズンで遊びに来ていたのだが、人見知りの性格のため、また父が寡黙なため、ほとんど父とダイバーの間には会話らしきもがなかった。
 母が一人で騒いでいなければ、家庭内は凪の有明海のように静かであっただろう。

 そんな恐れていた日が現実になった。

 母が1週間の旅行に行ってしまったのだ。
 父、サクラジロウ・ダイバー、三人の男だらけの共同生活はこうして突然、かつ厳かに始まった。

 おりしも有明海は大潮のベタ凪の日だった。
海面は波一つなく鏡のように新月を照り返していた。

 サクラジロウ家の朝は、《どんぐりコロコロ♪》の歌で始まる。
サクラジロウ家の一階はテナントで某会社に貸し出しており、そこで 無添加食品を販売していて、朝早くから一日中ずっと《どんぐりコロコロ♪》の歌を流している。

 パブロフの犬ではないが、その歌を聞くと、自然に腹が減り、よだれがでて、朝食を食べたくなるくらい、その歌はサクラジロウ家の生活のリズムにしみこんでいた。

 《どんぐりコロコロ♪》の歌に合わせて、父・サクラジロウ・ダイバーの三人は、のそのそと朝のテーブルにつく。

 朝飯のメニュー。 バナナ、栗、葡萄。母がいないので、男三人は あるものを食う。

朝飯時の会話
 
ダイバー「バナナは好きなんですか?」
 父  「ああ・・・」
ダイバー「・・・・」

 奇妙な間。

 外では雀がチュンチュンと鳴いている。
 ダイバーが必死に会話の糸口を探しているのが伝わってきた。

 父おもむろに体重計にのる。

ダイバー 「ダイエットやられてるんですか?」
 父   「しとらん」
ダイバー 「・・・・」
サクラジロウ「・・・・」

 奇妙な間。

 どんぐりコロコロ どんぶりこ〜♪
静寂の中に明らかに場違いな音楽が鳴り響く。

 父  「仕事に行ってくる」
ダイバー「いってらっしゃーい・・・」

 無口な父との会話はなかなか続かない。
人見知りなダイバーの精一杯の挑戦は徒労に終った。
ダイバーの目には無口で怖い親父に映っていたことだろう。
そして、そのイメージは間違っていない。

 しかし サクラジロウは知っている。

 父が、サクラジロウの昔作った 唐津焼きのジョッキで未だビールを飲んでいる事を・・・
毎朝 娘と孫の風邪が直るよう、神棚にお祈りしていることを・・・

どんぐりコロコロ♪の流れる中、仕事に向かう 父の寡黙な背中をサクラジロウとダイバーは見送った。

 教訓―『焼け野のキギス夜の鶴』
(キギスはキジのこと。子を思う親の愛情が極めて深いことのたとえ。キジは巣を営んでいる野を焼かれると、身の危険を忘れて子を救い、巣ごもる鶴は、霜の降りる寒い夜に子を羽でおおって暖めることから)

多謝

2002.04.18

サクラジロウ


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更新:2013.06.06
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