サクラジロウことだま放浪記

全ての答えはことわざの中のある。真理は名言のなかにある。長い時代を生き抜いた言葉には何か不思議な力があるのです。1つのことわざに1つのエピソード。不思議主人公サクラジロウが織りなす言霊の真実。

サクラジロウ

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サクラジロウ自己紹介

あなたもライターになれる

 

サクラジロウ
ことだま放浪記

19 終わりを始めに慎む
18 良い内から養生
17 不幸は決して単独ではこない
16 灯台下暗し
15 人は見かけによらぬもの
14 恋は思案の外
13 人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し
12 盆を戴きて天を望む
11 年寄りの言う事と牛の鞦(しりがい)は外れない
10 上戸は毒を知らず 下戸は薬を知らず
9 すずめ百まで踊り忘れず
8 禍福はあざなえる縄のごとし(後編)
7 禍福はあざなえる縄のごとし(前編)
6 年々歳々花相似たり 歳々年々人同じからず
5 人間万事、塞翁が馬
4 春眠 暁を覚えず
3 焼け野のキギス夜の鶴

2

虎口を逃れて、竜穴に入る

1

袖すり合うも他生の縁

0

己の欲せざる所は、人に施すことなかれ

第9回

すずめ百まで踊り忘れず


 こよなく晴れた青空の下、サクラジロウはドライブをしていた。
しばらく海沿いを走っていると、路肩に二つの人影。
手にはスケッチブック。ヒッチハイクだった。
 今では少なくなったが、暖かくなってくるとまだちらほら見かける。

 彼ら二人は学生で、夏休みの間にヒッチハイクで日本を一周するのが目標だということだった。
 何日も風呂に入っていないらしく、少しすえたような匂いが車内に充満していた。
 海で小さいカニをとって食っただの、酔っ払って野宿していて、朝起きたら留置所だったなど、端から見ればマヌケな話だが、彼らの貧乏旅行の話は面白かった。
 そのエネルギーが羨ましくもあった。
 彼らと高速の入り口で別れ、しばしサクラジロウは昔を思い出す―。

 
 サクラジロウは友達のガンちゃんと、後輩のイナバと四国の四万十川を目指しヒッチハイクの旅をしていた。
 
 ガンちゃんは典型的な行き当たりばったりの旅行者だった。
 昔、ママチャリで九州を一周しようと熊本を出発したが、まだ熊本をでないうちに温泉宿に泊まり、そのまま二泊し、帰りは電車で帰ってきた。自転車は宅配便で送っていた。
 
 またある時は、沖縄から大型台風が近づいてきている時、『台風を迎え撃つ!』と言って、九州南端を目指し出発したものの、また温泉につかって台風が過ぎ去ったころにノコノコ帰ってきた。
 
 人の言うことが右の耳から左の耳に抜けるタイプで、人の話をまったく聞かないので話はかみ合わない。

 しかし、不思議な魅力があって旅先で人とすぐ仲良くなり、どこからともなく酒を調達してきた。
 ガンちゃんはもらってきた焼酎とウイスキーなどをまぜて不思議なカクテルをよくつくった。
 決しておいしいとは言えなかったが、すぐに酔えるので貧乏旅行には重宝した。

 イナバはガンちゃんと反対のタイプで準備万端用意周到キッチリした旅行者だった。
 旅行先でもお金の収支表をつくり、一日いくらまで使って良いという予算をはじきだす。ガンちゃんとサクラジロウは、その度にブーブー言っていた。
 だが実際、彼がいなかったら、どんぶり勘定のサクラジロウといきあたりばったりのガンちゃんは、四万十川につく前に、どこかで飲んで、美味しいものを食べて引き返してきていただろう。
 イナバは旅行記までつけていた。

 しかし、その几帳面さとうらはらに、そのノリは体育会系で、口癖は『なにいってるんスか』だった。

 四万十川まであと一日という距離まで来た時、イナバはサッと収支をはじき出し(といっても収入はないのだが)『今日は野宿しないで、旅館でも泊まりましょうか』と言った。
 ガンちゃんとサクラジロウは二つ返事で賛成した。
 もう三日も風呂に入っていなかった。
 
 だが、見渡す限りの田園地帯、旅館らしき建物は見えない。車も通らない。
 しばし歩くと、きらびやかなシンデレラ城みたいなラブホテルが一軒。
 しょうがなくラブホテルに三人は入る。
 そのラブホテルは自動車で駐車場からそのまま部屋に入るタイプのホテルだった。
 こんな、田園地帯のラブホテルに歩いてくる人はいないのだろう。
 三人はどうするか迷ったあげく、駐車場から歩いて入ることにした。
 
『チョットあんたら』
 駐車場に入りシャッターを下ろそうとすると、後ろに懐中電灯を
もった老婆がいつのまにか立っていた。
『あんたら男三人で泊まるつもりか?』
『ハイ、そうですが』イナバが答える。
『あんたら撮影じゃろ。今、責任者を呼んでくるからそこでまっとれ』
老婆はそう言い放ちホテルの中へ消えていった。

 (撮影???)三人はなんの事だろうと小首を傾げた。
『男三人だからアダルトビデオの撮影隊と勘違いしたんじゃないッスか』
 イナバがするどい推論を言った。
『男三人でどうやってアダルトビデオを撮るんだ?』
 ガンちゃんがもっともなことを言う。
『ホモビデオと思ってるんじゃないッスか』
 イナバが冷静に気持ち悪いこと言う。

 しばらくすると、先ほどの老婆と責任者らしきおじさんがでてきた。
おじさんは唐突に言った。
『あんたらシンナー吸っとるだろ』
 (シンナー???)撮影疑惑の次は、シンナー疑惑。
想像力たくましい老婆とおじさんだ。
『その手にもっとる袋はシンナーだろうが』
 三人はコンビ二の袋に水のペットボトルを入れて持ち歩いていた。
『なにいってるんスか。シンナーなんて吸ってないスよ!
俺ら学生ッスよ!』
 イナバが訳のわからない言い訳をする。
『おまえらじゃ話にならん。責任者ば呼んで来い』
 ガンちゃんが責任者にむかって言った。
 また話を聞いていなかったのだろう。
 
 結局、いくら説明しても「シンナーを吸っているアダルトビデオの撮影隊」の濡れ衣は、はらせなかった。そのラブホテルには泊まれず、野宿した。


 現在、イナバは新聞記者をしており、ガンちゃんはバーテンダーをしている。
 三つ子の魂百までというが、自分の知らないうちから、案外自分の進むべき道は決まっているのかもしれない。


 教訓―『すずめ百まで踊り忘れず』
(雀はよく飛び跳ねる小鳥で、死ぬまでその癖が抜けない事から、小さい時からの習慣は、年をとっても改まりにくいというたとえです)

多謝

2002.07.11

サクラジロウ


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更新:2013.06.06
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