サクラジロウことだま放浪記

全ての答えはことわざの中のある。真理は名言のなかにある。長い時代を生き抜いた言葉には何か不思議な力があるのです。1つのことわざに1つのエピソード。不思議主人公サクラジロウが織りなす言霊の真実。

サクラジロウ

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サクラジロウ自己紹介

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サクラジロウ
ことだま放浪記

19 終わりを始めに慎む
18 良い内から養生
17 不幸は決して単独ではこない
16 灯台下暗し
15 人は見かけによらぬもの
14 恋は思案の外
13 人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し
12 盆を戴きて天を望む
11 年寄りの言う事と牛の鞦(しりがい)は外れない
10 上戸は毒を知らず 下戸は薬を知らず
9 すずめ百まで踊り忘れず
8 禍福はあざなえる縄のごとし(後編)
7 禍福はあざなえる縄のごとし(前編)
6 年々歳々花相似たり 歳々年々人同じからず
5 人間万事、塞翁が馬
4 春眠 暁を覚えず
3 焼け野のキギス夜の鶴

2

虎口を逃れて、竜穴に入る

1

袖すり合うも他生の縁

0

己の欲せざる所は、人に施すことなかれ

第11回

年寄りの言う事と牛の鞦(しりがい)は外れない


 サンサンと照りつける赤い太陽の下、黒い男3人はビーチについた。
 金髪のサーファーがたくさんいる。白い砂、青い海。波が高い。
 
 ビーチからは、小高い山の上のお墓が見える。
 九州のお墓の文字は金色で書かれている。
 それが太陽に反射しキラキラ光って見える。
 子供のころはそれが少し恐かったのだが、今では目にもとまらなくなった。
 ただ、お盆が近い事を思い出した。

(お盆には河童が海の底から足を引っ張りに来るので、海で泳いではいかん)―小さい頃、祖父に何度も言われた言葉だ。
 大人になり、それがくらげが出没しはじめる時期だから、子供が刺されないよう言っていた、という事を知り全然気にする事はなくなった。
 思い出す事さえなくなっていた。

 ビーチについた勢いのままサクラジロウは沖へと泳ぎだす。
 冷たい海水が心地良い。
 30メートルぐらい沖に出たとき、ビーチの監視員がマイクで叫んだ。
『今日は波が高いので、あまり沖に出ないで下さい』
 
 気付いた時にはもう遅い。
 サクラジロウはすでに波にもまれていた。
 浜に戻ろうにもすすまない。
 浜から沖へと流れる海流にのってしまったみたいだ。
 波の谷間に落ちると、前後が高い青い壁に挟まれ、浜が見えなくなる。
 
 後で聞いた話だが、ビーチにいたサクラジロウの友達の後ろで、溺れる様を見ていたおじさんが『ありゃ死んだな』と呟いたらしい。

 波が高いのは砂浜よりの方で、沖に出れば波は低くなる―という知識はある。
 ただサクラジロウに沖に出る勇気は無かった。できるだけ浜に近付きたいという気持ちが大きい。
 生への執着と青い海は知識を麻痺させる。

『そこの沖で泳いでいる人、危険なのではやくビーチに戻ってきなさい!』
 スピーカーから聞こえる声は遠かった。
 泳いでいるのではない溺れているのだ。
そんな事を言っている暇があったら助けて欲しい。

 サクラジロウは波に揺られながら、徐々に体力を消耗していた。
 泳いでも泳いでも、ただ前後に揺られるばかり。
 必死の形相で泳いでいたのだが、ビーチの方から見ていた友達が『笑っているように見えた』と後に言っていた。

 泳いでも泳いでも、ビーチはどんどん遠くなる。
 意識も遠くなる。
 山の上のお墓が太陽を反射していて、溺れているサクラジロウから見ると天国へ続く階段のように見えた。
 意識はさらに遠くなる。
 
 
 結局サーファーに助けられ一命は取り留めた。
 ビーチに着いた時、サクラジロウは全裸だった。
波にもまれている時、海パンがぬげてしまったらしい。


 その後、サクラジロウの友達も巨大クラゲに襲われたり、岩場で転び腰を強打したり、巨大クラゲに爆竹で仕返ししようとして自爆したりと色々な災難に見舞われた。

(お盆には河童が海の底から足を引っ張りに来るので、海で泳いではいかん)―祖父の言葉を思い出す。

 古くから残っている言葉には何かしら深い意味があるものだ。
祖父の言っていた事には他に意味があったのかもしれない。
 
 お盆に海の事故は絶えない。

 青い海と白い砂浜は、開放的で、ついつい、いつもよりも大胆になってしまう。

 今更ながら、祖父の言葉の重さに気付く夏。

教訓―『年寄りの言う事と牛の鞦(しりがい)は外れない』
(多くの経験を積んだ老人の意見は間違いが無い。「しりがい」は馬の鞍などを固定させるひものことです)


多謝

2002.08.09

サクラジロウ


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更新:2013.06.06
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