サクラジロウことだま放浪記

全ての答えはことわざの中のある。真理は名言のなかにある。長い時代を生き抜いた言葉には何か不思議な力があるのです。1つのことわざに1つのエピソード。不思議主人公サクラジロウが織りなす言霊の真実。

サクラジロウ

発行部数

サクラジロウ自己紹介

あなたもライターになれる

 

サクラジロウ
ことだま放浪記

19 終わりを始めに慎む
18 良い内から養生
17 不幸は決して単独ではこない
16 灯台下暗し
15 人は見かけによらぬもの
14 恋は思案の外
13 人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し
12 盆を戴きて天を望む
11 年寄りの言う事と牛の鞦(しりがい)は外れない
10 上戸は毒を知らず 下戸は薬を知らず
9 すずめ百まで踊り忘れず
8 禍福はあざなえる縄のごとし(後編)
7 禍福はあざなえる縄のごとし(前編)
6 年々歳々花相似たり 歳々年々人同じからず
5 人間万事、塞翁が馬
4 春眠 暁を覚えず
3 焼け野のキギス夜の鶴

2

虎口を逃れて、竜穴に入る

1

袖すり合うも他生の縁

0

己の欲せざる所は、人に施すことなかれ

第18回

良い内から養生


 目の前に大きな窓がある。
 棚には真っ赤なポインセチアが咲き乱れている。
 窓の外は広々とした田園風景。
 今は刈り入れも終わり少々殺風景だが、春になれば蝶が舞い、夏になればどじょうが泳ぎ、秋になれば鈴虫がうたうだろう。

 現実逃避。
 サクラジロウは歯医者の診察台に座っていた。
 親知らずを抜きに来たのだ。
 最後に歯を抜いたのは、10年前。
その時1本親知らずを抜いているので、まだ3本残っている。
 できれば抜かずに棺おけまで連れて行きたかった。
しかし、大きな穴があき抜くしかなかったのである。

 待合室のおばちゃん達が大きな声で話している。
『松井はJリーグにいっても活躍するかねぇ〜?』
 ほほえましい勘違い。
 だれも「メジャーリーグだよ!」とはつっこまず会話はどんどん進行する。
 そんな、日常のありふれた会話さえもサクラジロウには遠い世界の会話ように聞こえる。

 歯のレントゲンをとられ、またしばし時間が空く。

 近所の子供たちから(ロケットマン)とあだ名をつけられているおじさんがいる。
 そのおじさんは酒飲みで真っ昼間から酒を飲んでいる。
外を歩く時も酒を手放さず、いつも背中に二本の一升瓶を背負って歩いている。
 その二本の一升瓶がロケットに見えるからロケットマン。
 子供の発想力には無限の可能性がある。

 現実逃避。
 しかし、ロケットマンに少しだけ勇気を分けてもらった気がした。

できあがったレントゲンを見て歯科医が言った。
『問題ないですね。10分もあれば終るでしょう。
痛かったら右手をあげておしえてください』

 いきなりペンチみたいなものを口につっこまれた。
 すごく痛い。麻酔のききが悪いのだろうか。
 『痛くないですか、大丈夫ですか?』
しきりに歯科医が聞いてくる。
『痛くないです』
 痛ければ痛いほど、痛いとは言えないものだ。
 男は黙って背中で語るものだ。
『つま先がグーになるほど痛さをがまんしなくても良いですよ』
 背中で語るつもりが、つま先が痛さを語ってしまっていた。

 しかし、口の中を治療しながら、よくつま先まで目が
届くものである。
『全然痛くないです。冷え性なんです』
 歯科医は治療を続けた。
 痛みが激痛に変わってきた。汗がふきでる。時間が長く感じた。

 感じただけではなく実際長かった。
結局抜くのに30分かかっていた。
 歯がなかなか抜けなかったのだ。
 普通、歯の根元というのはまっすぐなっているのだそうだが、サクラジロウの親知らずの歯根はなぜか釣り針のように曲がっていて抜けにくかったたからだ。

(おまえも抜かれたくなかったんだな・・・)
 残り2本の親知らずは大切にしようと心に決め、治療室をでようとするサクラジロウの背中に歯科医が声をかけた。
『あと一本の親知らずもダメになっていますから来週抜きましょう』

教訓―『良い内から養生』
(何事についても日ごろの用心を怠らない事が、よい結果をもたらす秘訣であるというたとえ)

多謝

2002.11.21

サクラジロウ


スポンサード リンク

サクラジロウことだま放浪記


 

たまごや

オススメ読み物系

チョコレートカクテル

かっとびモデルの私生活

読むドラマ

現代メロンパン考

すーぱー添乗員がゆく

雑文の女王

オススメお役立ち系

知って得する労働法

週刊マナー美人

常識ぽてち

女性のためのクルマ読本

週刊節税美人

四柱推命による人生相談

お店で買うにはちと恥ずかしい


創刊:2002.03.01
訪問者数:
更新:2013.06.06
デジタルたまごやトップ