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第0回
決めゼリフ
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このコーナー、芸能ネタで始めちゃうことがけっこう多い。今回もまたミーハーな話題でごめんなさい。しかもいささか古いし。女優中山美穂と、作家・辻仁成の結婚の話である。
辻さんという人、最近は映画監督もやるらしい。彼はパリの空港で初めて中山を見かけた際、自分がメガホンをとる映画の主演女優はこのひとをおいてない、と思ったとのこと。後に雑誌の対談で顔を合わせた彼女に(こういうのって根回しするんだろうな、やっぱり)「やっと会えたね」と言ったとか言わなかったとか。
やっと会えたね。
たしかにいい台詞です。こんなこと言われた日には、どんな女でも多少は心が動く。私はたまたまその対談記事を、発売された当時に読んでいた。「なんとキザな男よ」と思ったけれど、それは他人が他人に向けた言葉だからそう感じるのであろう。
実は。これによく似た台詞を1度だけ男の人に言ってもらった経験がある。はるか昔、社会人になりたてのころのことだ。
昼休み、同僚と共にエレベーターに乗った。昼休みであるから当然お昼を食べに行く人々で満杯である。そんな中で突如「あーっ!!」という声がした。
つづいて「君、沢木さんでしょ?」ときた。へ、私? おどろいて顔を上げると、ある男の人がまっすぐにこちらをみていた。その人はとても嬉しそうに微笑んで、こう言った。「いやー感動だなあ。会いたかったんですよ、すっごく」
私のいた会社では、4月の社内報に新入社員全員の顔写真と簡単な自己紹介が掲載される。そこで私の写真を見た彼は「お、好み♪」と思ってくれたというのだ。直接私のいるフロアまでたずねてくる勇気はさすがにないけれど、社内でもしすれちがえたらいいなあ。入社以来ずっと、そう考えていたらしい。
沢木まひろ(当時22)、目の中のお星様は完全にハート型である。人の好みは十人十色。蓼食う虫も好きずき。世の中には奇特なお方がいるものだ。そして、ここでさらにドラマティックな展開。実は私のほうも彼をチェックしてたのよ。
新人全員の顔写真と経歴が載る社内報は、いわばカタログのようなもの。新入女子社員にとっては同期のイケメンを検索するための、ベテランのお姉さま方にとっては純な年下の彼氏を見つけるための超保存版だ。当然私だって目を皿のようにしてながめました。結果「いいな」と思った中の1人。それが正に彼だったのである。
その彼が、今の主人なんです(*^^*)
…嘘です。人生そんな都合よく転がるわけがない(笑)。感動していたわりには、彼は「それじゃっ!」と、爽やか且つ速やかにエレベーターを降りていき、それっきり2度と会うことはなかった。
考えてみたらあの社内報用の写真、私、相当にリキ入れて腕のいい写真屋さんに撮ってもらったのよね。多分、画像と実像のギャップがありすぎたのでしょう(苦笑)。そんなもんです。今となっては、私のほうでも彼のお名前、思い出せません(負け惜しみ?)。
まあ、それはそれとして、上司も同僚もいるエレベーターの中で、照れもなく堂々と「会いたかった」と告白されるのは、女としては恥ずかしいけれども相当に嬉しい。シンプルな表現ではあるけれど、自分がそんなにも熱望されていると、ひしひしと感じられる言葉である。だからこそ私も、大昔のことだというのに、未だにしつこく憶えているのだ。
中山美穂だって芸能生活長くて、数々の修羅場をくぐりぬけてきたはずである。そんな彼女の鎧を一発で剥いだ(かどうか知らんけど)辻サンの一言、さすが売れっ子作家です。
学びましょう。
2002.07.26 |
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◆沢木まひろ |
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創刊:2002.11.08 |
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更新:2008.11.20 |
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