雑文の女王 -沢木まひろ-

目指すはメルマガ界の『天声人語』。「あるあるある!」「おー、いいこと言うじゃん」「うまいっ!」と毎週うなずいていただきます。読みやすく、かつきれいな日本語を大切にする、沢木まひろの週刊コラムです。

沢木まひろ

現代メロンパン考

日々つれづれ思ふ事

読むドラマ

雑文の女王


沢木まひろ自己紹介

あなたもライターになれる

 

雑文の女王

発行履歴

15

それはまた別の話

14

価値観

13

頼れる人

12

アタマも風邪をひく。

11

背番号

10

親心

9

あなたは1人だけ。

8

年の始めに。

7

レッツ・ショッピング

6

得意分野

5

ものを大事に

4

失神したい?

3

それでも花嫁は泣く。

2

脱ぐ女

1

背徳の食卓

0

決めゼリフ

第4回

失神したい?


先日、夜けっこう遅い時間に、東京・渋谷のセンター街に居た。

学生時代には毎日のようにウロついた場所なれど、久々に、しかも夜更けに歩いてみると、随分様相が違っている。うわ、身体じゅうピアスして歩いてる。うわ、ピンクの髪の毛がおっ立ってる。道にいっぱい人が座ってる。女の子も。おいおいスカートなのに、お尻ついてリンゴなんか食べてるよ。

噂に聞く"合法ドラッグ"の露店も出ていた。やはり以前には見られなかった光景である。数歩近づいて「下さいな」と言えば、めくるめく体験ができるわけだ。私のような年になっても、多少は興味をおぼえる。どんな感じになるんだろうと思ってしまう。

若者は深夜の街を遊び歩き、時にあぶないクスリに手を出す。主婦がパチンコやホストにハマる。経済的な問題がないのに、万引きに走るお年寄りがいる。もちろんみんながそうってわけじゃないけど、豊かなんだか貧しいんだかわからない時代の中、多くの人々が刺激を求めている。そしてそういう哀しい症状は、どんどん世代を問わなくなりつつある。

"失神ゲーム"なる遊びが、子供界で流行っているという。胸などを強く圧迫してもらい、意識が薄れる感覚を楽しむというもの。都内では小学生が怪我をして問題化し、欧米では死者も出ているとか。この遊び、実は最近始まったものではなく、40年ほど前に愛知県で、都内の中学では20年前に流行ったことがあるそうで、口コミで伝わっては消える、を繰り返しているらしい。

昔も流行ったというが、当時の子供より今の子供のほうが、ずっと気軽にやっているはずだ。世の中で目にするものは過激になる一方。私はテレビゲーム(て言い方は古い?)をやらないが、かなりリアルですごいことになっているらしい。夢の世界があざやかすぎるから、現実の暮らしで越えようと思ったら、遊園地の絶叫マシーンぐらいじゃ追いつかない。で、行き着く先が失神。平成生まれのドラッグ患者が出る日も、そう遠くはないかもしれない。

真っ赤な服を着たCGの女の子が、薄型のデジタルカメラを片手にモデル歩きをするCMがある。八頭身どころではない、非現実的なスタイルの良さ。どう見ても本物の人間には思えないが、歩き方やポーズの決め方など、実によく出来ている。

「一度あんなプロポーションになって、街を闊歩してみたいものだ」などと思いながら眺めているうちに、ヘンな妄想にとりつかれた。近い将来、ああいう架空の相手と、きわめてリアルに交流することもできるようになるんではないか。会話やデートどころではなく、例えば男女の到達点まで。そんなことが可能になれば、生身の人間ではダメだという人がきっと出てくる。「あのコは何でも言うこと聞いてくれるのに何でお前は」とかいって、恋人や奥さんに暴力をふるう犯罪が起きるに違いない。

こういう問題が起きると、食い止める策としては、まず規制されるのが常である。規制されれば必ず、網の目をくぐり抜けようとする輩が現れる。いたちごっこだ。刺激的にすぎる情報が出回ることに関しては、たしかに考慮されるべきだろうが、イカンと言われるとやりたくなるのは、人間の性というもの。何でも隠しておけばいいってもんでもないと思う。

特に頭のやわらかい子供に対しては、過激なもの、刺激的なものの取り扱いについては、十分理解しといてもらわなきゃ地球の未来は危うい。学校のお勉強も大事だけど、まずそれでしょう。今の子供って、いったいにドライで大人っぽく見えるわりに、想像力が欠如しているケースが多いような気がする。

「やってみたかった」といって人を殺すような例は正にそれ。自分の年なら新聞に名前は載らないなどと、半端な知恵が働くわりには、後のことがまるで予測できていない。この先何十年の人生を「人を殺したことがある者」として生きるとはどういうことか。周囲から後ろ指をさされる家族や親戚の思いはどんなものか。ある程度想像することができれば、単なる好奇心だけで殺人罪なんて犯せるわけがないのだ。

ハイな精神状態になりたがるのは、成長途上のしるしかもしれない。日々の生活に倦み疲れ、タバスコ一気飲みみたいな刺激を求めたくなるのも致し方ない。肝心なのは「せいぜいここまで」の線引きができること。文明の利器が使用法を誤れば大惨事になるのと同じで、きらびやかな危険に惹かれる気持と、それに関する知識・想像力のアンバランスが、一番おっかないことなんだと思う。

想像力を養い、ついでに創造力も養えば、過激な考えを作品にすることができる。もの書きのハシクレとして言えることは、これってけっこう発散になりますぜってことです(笑)。

2002.12.06
 
沢木まひろ

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更新:2008.11.20
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