雑文の女王 -沢木まひろ-

目指すはメルマガ界の『天声人語』。「あるあるある!」「おー、いいこと言うじゃん」「うまいっ!」と毎週うなずいていただきます。読みやすく、かつきれいな日本語を大切にする、沢木まひろの週刊コラムです。

沢木まひろ

現代メロンパン考

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雑文の女王


沢木まひろ自己紹介

あなたもライターになれる

 

雑文の女王

発行履歴

15

それはまた別の話

14

価値観

13

頼れる人

12

アタマも風邪をひく。

11

背番号

10

親心

9

あなたは1人だけ。

8

年の始めに。

7

レッツ・ショッピング

6

得意分野

5

ものを大事に

4

失神したい?

3

それでも花嫁は泣く。

2

脱ぐ女

1

背徳の食卓

0

決めゼリフ

第6回

得意分野


先日発表された小・中学校の学力調査で、社会と数学の学力が特に低下していることがわかったという。

逆に国語の成績は上がっているんだとか。私は文系の人間なもので、世の中が何となく自分向きになっている感じで、一瞬安らかな気分になってしまったりしたのだが、憂うべき結果であることは間違いない。

国語の力が上がっているのは、やはりメールが普及したからだろう。文章を書いていると、自然に言葉への興味もわくのかもしれない。それはそれでいいのだけれど、一方で社会科がダメだというのは、世間に目を向ける気持が薄くなり、自分の世界に走っているような気がしてならない。

メールや手紙は伝達のツールだが、ある程度気心の知れた人間同士で交わす、ごく狭い世界のものだ。居心地はいいが、そこにばかり浸っているとどんどん視野が狭まっていく。日本語が乱れていると言われる昨今、理由が何であれ国語の成績がよくなるのは喜ばしいことだが、オフィシャルな物の考え方ができなくなっては困る。

「社会なんて、わざわざ学校でやらなくても新聞読めば済むじゃん」「関数やベクトルが、将来何の役に立つってのさ」私自身、国語好きだった学生時代には、こんな不遜な考えでもってろくに勉強しなかった。時間も脳細胞も豊富なうちに学ばなかったことを悔いるのは、たいてい手遅れになってから。あわてて資格をとってみたり、ジタバタするのはみな良い年をした大人である。

とはいえ、人の才能なんて所詮はマチマチ。大きく分ければ理系と文系、また国語はよくても英語は今ひとつ、化学は好きだけど数学はどうも、という人もいるだろう。「好きこそ物の上手なれ」の諺通り、得意分野に力を入れるのは結構なことだとは思う。

【さかなくん】というタレントさんがいる。バラエティー番組などによく出ていて独特のキャラなのだが、魚については非常に広大な知識を持っているようだ。何たって『TVチャンピオン』でV6を達成したというんだから、折紙付である。尋常でない熱意・愛情と努力がなければ為し得ないことであろう。"オタク"などと呼ばれて貶められがちな彼らだけれど、ぼんやりとやり過ごしている連中に比べたら遙かにエライんである。

また先日、こんな話も新聞に載っていた。カンボジア・アンコール遺跡の国際シンポジウムに、パソコンの得意な18歳の青年が共同研究員として出席した。上智大の研究所所長に誘われて調査に参加した彼は、出土した廃仏を3次元デジタル画像で復元し、ひときわ注目を集めたという。3次元撮影は仏像の計測にかかる時間や手間を省き、断面図などもすぐ図示できるので、非常に便利であるとのこと。パソコンマニアの若い人は多いが、ここまでやれてしまう人は、なかなかいないだろう。

こんなケースを見ていると、「好きなことだけやっていれば未来は開ける」ような気もする。でも実際には、そこまで極められる人はほんのごく一部なのだ。"99%の努力と1%の才能"というけれど、うーんやっぱり1%じゃムリでしょう。持って生まれた才能プラスたゆまぬ努力(ほんとうに好きだと、多分努力も苦にならないのね)があって初めて、凄い人たちは我々の前に登場してくるのだと思う。

あきらめるだけが人生じゃない。ただ、夢がないようだけど保険も必要だ。世の中には凄い人とそうでない人がいて、そうでない人のほうがずうっと多い。自分がその絶対多数の中にいると認めるのはさびしいけれど、それぞれの自立のためにも、知識はまんべんなく身につけておいたほうが良い。生誕ン十ン年を迎えた今、つくづくそんなことを感じている私である。

ちなみにアンコール遺跡の18歳くんは今、受験生なのだそうだ。この時期にシンポジウムに出てて大丈夫なの? と思ってしまうが、類い希な才能を大事に育てれば、そんな心配は必要ないのだろう。ああ、うらやましい。かっちょいい人生を送ってほしいものである。

2002.12.20
 
沢木まひろ

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更新:2008.11.20
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