雑文の女王 -沢木まひろ-

目指すはメルマガ界の『天声人語』。「あるあるある!」「おー、いいこと言うじゃん」「うまいっ!」と毎週うなずいていただきます。読みやすく、かつきれいな日本語を大切にする、沢木まひろの週刊コラムです。

沢木まひろ

現代メロンパン考

日々つれづれ思ふ事

読むドラマ

雑文の女王


沢木まひろ自己紹介

あなたもライターになれる

 

雑文の女王

発行履歴

15

それはまた別の話

14

価値観

13

頼れる人

12

アタマも風邪をひく。

11

背番号

10

親心

9

あなたは1人だけ。

8

年の始めに。

7

レッツ・ショッピング

6

得意分野

5

ものを大事に

4

失神したい?

3

それでも花嫁は泣く。

2

脱ぐ女

1

背徳の食卓

0

決めゼリフ

第7回

レッツ・ショッピング


年末年始は、何かとお買い物が増える時期。クリスマスプレゼント、お歳暮、そしてお年賀…今のご時世、お金が出ていくのはしんどいけれど、贈る相手のことを思いつつ品物を選ぶのは、やはり楽しいものである。

最近、そういうショッピングの手だての1つとして、ネット通販の勢いがめざましいとのこと。ブロードバンド通信の普及も追い風となっているのだろう。米国では、11月〜12月にかけて消費者の使った金額は前年比40%増。日本でも、伸び悩む店売りをよそにネット通販は"小売業界の風雲児"となっているとか。とくにお歳暮向けの食品、飲料の売り上げが伸びているらしい。

季節のご贈答品といえば、今も昔もテレビのCMだけは理想の形をえがいている。和服美人が風呂敷に包んだそうめんを抱えて玄関に立ったり、ハムの大箱を片手にB所哲也がやってきたり。お世話になったあの方には直接ご挨拶にうかがうのが、本来のあるべき姿。しかし義理とシガラミが増える一方の世の中、そんな余裕のある人は滅多にいない。

ひと昔前までは、お歳暮やお中元は、百貨店の特設会場で手続きをするのが一般的だった。それが電話やFAX注文となり、さらにはインターネットへ。人件費が浮くからか、同じ商品でもネット通販のほうが安かったりする。私も何度か産地直送の果物を人に送ったことがあるが、お世辞でなく美味しかったようで、こっちが照れてしまうくらいに喜ばれた。手軽で安いうえに先様に喜んでもらえるなら、これ以上けっこうなことはない。

ただ、ここまでネット通販が栄えているのは、必ずしも安いからというだけではないような気がする。

例えば、私は電話というものがあまり得意ではない。家に送られてくるカタログ通販などは、もちろんホームページでも注文できるが、通信料などを考えると、厳密に一番安いのはフリーダイヤルの電話注文なのだ。ところが電話口で吃ったりするのがイヤなもんだから、ついついパソコンに手が伸びてしまう。いくら相手が機械的に対応してくれても、「健康サポートソックスのベージュ、3足」とか人に言うのはヤだな、というのもある。

名前や住所の漢字も説明しなくていいし、どんなものを買ったのかも言わなくていい(知られてはいるんだけど)。ちょっと前までは、「ネットで物を買うなんて」という不安があったけれど、実際には商品の品質は確かだし、サービスも悪くない。口下手で気の小さい者にとって、ネット通販は非常に気楽なものなのだ。

ただ、味気ないといえば味気ない。

買い物をしていて、たまにとても気持のいいお店がある。自分たちの商売に気概と誇りを持っているお店。こういうお店で働いている人たちは、もちろん品物に関しても広く深い知識があるから、話を聞かせてもらうだけでも楽しい。楽しいついでについ予定外の出費になってしまう場合もあるが、もし買わなかったとしても嫌な顔をされたりはしない。こういう、物とお金の交換という部分以外での面白さは、ネット・ショッピングには求められないものだ。

ただ、そんな味のある店がだんだん見つかりにくくなっている気がする。売り物の説明もろくにできなかったり、慇懃無礼なだけだったりする店員さんが案外多い。あの感じに慣れていたら、買い物に対人関係など要らない、と思ってしまうのも無理はない。

最近は大型のショッピングセンターが増えて、商店街がすたれつつある。駐車場などサービス面での理由もあるのだろうが、いわゆる"お買い物トーク"が面倒、という人も多いのではないか。スーパーならレジに持っていけば事が足りるが、商店街では「これ下さい」から始めて一連のやりとりをしなくてはならない。そのやりとりの楽しさを知らずに敬遠してしまう人が、増えているのかもしれない。

これはちょっと乱暴な考え方かもしれないけれど、消費者金融に手を出す人が増えたのも、"むじんくん(無人契約機)"がきっかけなんじゃないかと思うのだ。「お金借りたいんですけど」と言わなくていいから、つい気軽に利用してしまう。それでもあのハコに出入りするときは多少人目が気になったりしたはずだけど、今や同じことが家の中で、パソコンひとつでできてしまうのである。

街のお店が一軒もなくなってしまう時代、なんていうのはまだまだ来ないだろうが、便利なものは便利なものとして使いこなし、一方では「これを買うならあそこ」みたいなお店も心得ていたい。いい客がいなくなってしまえば、いいお店もどんどんなくなっていってしまうだろうから。

2002.12.27
 
沢木まひろ

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更新:2008.11.20
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