雑文の女王 -沢木まひろ-

目指すはメルマガ界の『天声人語』。「あるあるある!」「おー、いいこと言うじゃん」「うまいっ!」と毎週うなずいていただきます。読みやすく、かつきれいな日本語を大切にする、沢木まひろの週刊コラムです。

沢木まひろ

現代メロンパン考

日々つれづれ思ふ事

読むドラマ

雑文の女王


沢木まひろ自己紹介

あなたもライターになれる

 

雑文の女王

発行履歴

15

それはまた別の話

14

価値観

13

頼れる人

12

アタマも風邪をひく。

11

背番号

10

親心

9

あなたは1人だけ。

8

年の始めに。

7

レッツ・ショッピング

6

得意分野

5

ものを大事に

4

失神したい?

3

それでも花嫁は泣く。

2

脱ぐ女

1

背徳の食卓

0

決めゼリフ

第9回

あなたは1人だけ。


真偽のほどは定かではないが、人類初のクローンが誕生? という、ちょっとコワイ話が最近取り沙汰されている。

クローン問題について耳にするたび、感じることがある。倫理的にどうのとか尊厳がどうのとかいうが、クローンの何がどう倫理的でないのか、きちんと説明できる人は案外少ないのではないだろうか。私もさっき「ちょっとコワイ」と書いたけれど、なんでコワイのか改めて訊かれると、ちょっと困る。何となくコワイ感じがするから、としか答えられないのだ。

コワイといえば、近い将来クローンが幾例も誕生したりするうちにみんなが何となく慣れてしまって、抵抗感が薄れそうな感じなのもコワイ。増税だって住基ネットだって、当座はけっこう盛り上がるわりに、結局何となく受け容れてる感じの世間である。

今は当たり前に使っている『火』も、原始時代には、現在の原子力と同じくらい脅威的な文明の利器だったのだと思う。脅威的なものは極力注意をはらって扱うはずだが、今や小さな子供でも、平然とライターをつかう時代になってしまった。

火は人間の生活になくてはならないものだ。でもその火を人の家に放てば犯罪になる。便利なものはすべて、諸刃の刃。生命をめぐる技術にしても、進歩すればするほど治療できる病気は増えるけれど、一方で必ず穏やかならざることが起きるのは目にみえている。ほんとうに、一番怖ろしいのは人の心だと、つくづく感じることである。

まったく非科学的な人間である私は、「DNAの二重らせん構造の発見から50年」などと聞くと、既に自分が何千年も出遅れている感があるのだが、例えばAさんのクローンをつくるとして、彼が今までの人生で得てきた記憶、体験に基づき形成された人格、感情のすべてをコピーするなどということは、まだまだ当分不可能なのだろうな、ということだけは、何となく想像がつく。

しかし、不可能だから大丈夫というのではない。要は科学や技術を「そういうふうに使うのは無意味だ」と、みなが思っていなければいけないということだ。今まで治せなかった病気が治り、有意義な人命が保たれるのは素晴らしいことである。あくまで生物を助けるための科学であり技術なのだという考え方でいかないと、歯止めはきかなくなるばかりだと思う。

この場で触れるのも恐縮だが、私の小説メルマガ・『読むドラマ』でも、クローンの話を書いたことがある。失恋した青年が、愛する人のクローンをつくってしまう悲劇であるが、その青年はラストでこうつぶやく。

「やっぱりやだよ、あんな女。僕は涼ちゃんがいい。涼ちゃんじゃなきゃダメだ」

クローンがうようよしているような未来には、こんなドラマも理解されなくなってしまうわけで、ラブ・ストーリー至上主義の沢木としては、やはり絶対に避けたい状況である。「愛しいあなたは唯一無二の存在」という大前提は、覆されてはならないものなのである。


※『読むドラマ』にご興味を感じて下さった方はこちらへ。

2003.01.16
 
沢木まひろ

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更新:2008.11.20
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