私が出逢った男たち -乾 京子-

今まで多くの男性に出逢った。学校、合コン、バイト、ネット・・。友達として10年以上仲良くしている人、すぐ別れてしまった人、恋人だった人。過去の男たちついて様々な角度から赤裸々に、時に淡々と綴ります。

私が出逢った男たち

私が出逢った男たちPart1
by 乾京子
私が出逢った男たちPart2
by 卯月あみか
私が出逢った男たちPart3
by 緑川すずめ

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34 けんじ
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23 新保くん
22 キクちゃん
21 りき
20 竜ちゃん
19 クニヒロ
18 たけ
17 ダン
16 ひとし
15 ○ヤマ・○ョウ
14 社長
13 たかしさん
12 神様・其の2
11 いけや
10 しゅう
09 トモ
08 ゆうじ・其の2
07 ゆうじ
06 トシ
05 神様
04 モーミン
03 アツオ
02 バンビ
01 ダイスケ
00 きのっぴ

第43回

ぬぅ


私は1年間だけ同居をした人物がいる。
同棲ではなく、あくまで同居である。

彼と出逢ったのはデパートの屋上で、私がアイスを食べていた時だ。
私のアイスがよほど美味しそうに見えたのか、彼は「それ、どこで買ったの?」と聞いてきた。
教えると彼は走って買いに行った。
しばらくすると、彼は私の座っているベンチの隣に座り、黙って同じアイスを食べている。
『気持ち悪い』と思い、席を立とうとすると、「これ聴いてみてよ」とウォークマンのイヤホンを私の耳にねじ込んだ。
聴いたことのない音楽だったが、余りにも良い音楽だったので、席を立つことも忘れ、その場に座り音楽に聞き入ってしまった。

その後、なんとなく彼と一緒にデパート巡りをした。
ペットショップへ行き、玩具屋へ行き、CDショップへ行き、本屋へ行き。

彼は同居人を探していると言う。
初対面で同居する気などなかった。
危ない人かもしれないし。
しかし彼は「俺達はいいルームメイトになると思う」と言う。
確かにペットも、玩具も、CDも、本も、私と好みが一致する。
逆に私が「今観たい映画は?」と聞くと、それもまた一致した。
割とマイナーな映画である。

彼は可愛く、綺麗な顔をしていた。
全身グレーの服も似合っていた。

以前にも言ったかと思うが、私は恋に堕ちやすい。
しかし彼の場合は、恋ではなく親近感であった。

部屋はもうあるという事で、安全を確信した私は見せてもらうことにした。
リビングがあり、それとは別に2部屋ある。
1部屋は彼が使っているらしい。
もう1部屋は先月まで妹が住んでいたと言う。

あくまで同居という確認をし、約1週間後から私達の同居生活は始まった。

私達は兄妹の様に仲が良かった。
そして何よりも気楽だった。
「籍だけでも入れちゃおうか?」などという話も出た。
私達にとって、結婚や恋愛など、どうでも良い時期だったように思える。
ただ毎日が楽しかった。

『ぬぅ』という名前は私がつけた。
由来はないのだが、彼のイメージである。

ぬぅは喘息持ちだった。
調子の良いときは発作が出ないのだが、仕事などでストレスが溜まると悪化する。
1年の間に私は何度か救急車を呼んだ。

そして彼は突然亡くなった。
彼の身内は母親だけだった。
父も妹も喘息で亡くなったらしい。

兄妹の様になっていた私は、涙こそ出なかったが、しばらく呆然とした。
一人では家賃を払えないので、実家に戻り、1年近く仕事をせず家にいた。
私の中でぬぅの存在は大きかった。
今まで出逢った男たちの中で、一番大きな存在である。

彼のことを書かなかったのは、書けなかったのだ。
今、あれから何年かの月日を経て、やっと書ける。
彼はグレーの服を好んで着ていた。


2003.08.14

乾京子


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更新:2011.02.16
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