私が出逢った男たち -乾 京子-

今まで多くの男性に出逢った。学校、合コン、バイト、ネット・・。友達として10年以上仲良くしている人、すぐ別れてしまった人、恋人だった人。過去の男たちついて様々な角度から赤裸々に、時に淡々と綴ります。

私が出逢った男たち

私が出逢った男たちPart1
by 乾京子
私が出逢った男たちPart2
by 卯月あみか
私が出逢った男たちPart3
by 緑川すずめ

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57

最終回-父と兄-

56 まる
55 ヒロシくん
54 肥後くん
53 あぶ
52 あつのぶくん
51 柳沢くん
50 ナパ
49 まっちゃん
48 エビさん
47 アラタ
46 神田くん
45 よっしー
44 佐々木くん
43 ぬぅ
42 しんすけ
41 小林くん
40 本田さん
39 古庄
38 中田くん
37 ライ
36 早苗
35 白い車の人
34 けんじ
33 後藤さん
32 ゆう
31 しんご
30 早稲田くん
29 キョースケ
28 糸井さん
27 スーさん
26 じゃんぼ
25 だいちゃん
24 セク原田
23 新保くん
22 キクちゃん
21 りき
20 竜ちゃん
19 クニヒロ
18 たけ
17 ダン
16 ひとし
15 ○ヤマ・○ョウ
14 社長
13 たかしさん
12 神様・其の2
11 いけや
10 しゅう
09 トモ
08 ゆうじ・其の2
07 ゆうじ
06 トシ
05 神様
04 モーミン
03 アツオ
02 バンビ
01 ダイスケ
00 きのっぴ

第46回

神田くん


前回書いた同居生活から、私はまた実家へと戻った。
2週間程度の同居にこうも嫌気が刺すものだとは思いもしなかった。

よっしーは良かったのだ。
温厚であり、性格も合う。
しかし、もう一人の同居人である『神田くん』は口うるさい。

口うるさいと言うよりも、自分の価値観と思い込みだけでしか物事を判断できない人間だったのだ。
彼は聞いただけで明らかなマルチ商法に引っ掛かっている。
しかし本人は立派な仕事だと思い込んでいる。
一回だけ「それってマルチじゃん」と言った。
神田くんは『マルチ』という言葉を知らず、『ねずみ講』と言い換えた。
しかしその言葉も知らなかった。
彼は世間を知らな過ぎる。

丁寧にピラミッド型の図を書き説明してあげたが、「全く違う」とムキになるばかりであった。
そればかりか、どんなに素晴しい仕事かを私に説明する。
「うん、興味ない。普通に働いた方が楽」と答えると、「働いててもできるよ。今の仕事に更に収入が入るんじゃん」と言う。
そしてパンフレットを出そうとしたが、テーブルの上に乗っていたそれのコピーは全て読んだので、その事実を伝えた。
それでも彼の講議は終わらない。
「資本金は30万だけでいいんだよ。あとは自分の営業次第」
「ああ、お金ないから」
「貸すよ」
「他人からお金借りるのイヤ。しかもそんな大金。
それに私営業下手だし儲からない。やる意味がない。損するだけ」
それでも講議は続く。
流石に嫌気が刺し、「もう眠いから寝る」と話の途中で寝室へ行った。
それ以来その仕事については勧めなくなった。

だが、今度は私の仕事を色々と聞いて来る。
どんな会社か、どんな人間がいるのか、などと。
楽しい会社である。
そして私は一番気難しいと言われる女性社員にも気に入られている。
そう、彼には一言も会社の悪口を言っていないのだ。
神田くんは『気難しい女性社員』がどう気難しいか聞いて来た。
「うん、スゴーク美人でね、仕事もできるんだけど、人間の好き嫌いが激しいの。
あと機嫌の良い時と悪い時の差が激しいんだけど、スッゴク可愛い人。
女王様タイプだね。『お姫様』とか言ってる人も多いけど」
それを言った途端彼はこう言った。
「なんでそんな女にペコペコすんの?お前バカじゃねぇ?」
「は?私全然ペコペコなんかしないけど。逆にペコペコしてる人の方が嫌われてるし。
だって社員と派遣の違いだけで、年齢一緒だし仲良いよ。
隣の駅に住んでるから、たまに遊ぶし」
「媚び売ってるんじゃねーよ」
「だから媚びてないって。媚びてる人間が嫌いなの、あの人。私もだけど」
「俺はそういう女嫌いだな」
「あ、そう。どうせ知らないんでしょ?会う事もないんでしょ?
勝手に悪口言わないでくれる?」
「悪口じゃねーよ。俺、そういう女沢山知ってるからわかるんだよ」
「私だっていっぱい知ってるよ。でも彼女は違うの」
「そんな女雇ってる会社も情けないな。サイテーの会社だな」
「じゃあ私、サイテーの会社で働いてるんだ?
神田くんはさ、そんなに立派な仕事してるんだ?
で、今の仕事は収入どのくらいなの?」
途端に彼は口籠る。
「・・・一日今は千〜二千円。でもやり方によってはさ、何十万でも稼げちゃう訳よ」
「ふぅん。まだまだなんだね。で、上司はよっぽど素晴しい人なんだ?」
「社長には会った事はないけど、この仕事紹介してくれた人はいい人だよ」
やはり全くのマルチではないか。
「自分の仕事けなされるの嫌でしょ?自分の知り合いの悪口言われるの嫌でしょ?
私も同じだから、会った事もないのにとやかく言わないで」

ほぼ毎日がこんな会話の繰り返しであった。
私の大好きな友達の事も、知りもしないのに平気でけなす。
当たり前にストレスは溜まる。

そして私は神田くんの見ていない所でよっしーに僅かながらの家賃を払い、実家に帰った。
もう神田くんとは二度と会わないだろう。
別れ際には必ず「またね」と言う私が、初めて「バイバイ」としか言わなかったのだから。

2003.09.06

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乾京子


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更新:2011.02.16
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