痴呆の利雄さん

老人ホームの裏事情PART1

いつかはお世話になるかもしれない老人ホームのショッキングな裏事情。老人たちにとって同じような毎日でもじつは日々刻々と変わっていく老人ホーム。そんな老人ホームの毎日をのぞいて見ませんか?

超高齢化社会コラム
老人ホームの裏事情Part5
〜学校では教えない本当の社会福祉〜new3.gif (112 バイト)
by エル・ドマドール
老人ホームの裏事情Part4
by 稲垣尚美
老人ホームの裏事情Part3
by 辻本ゆめの
いきいき介護ライフ
by 渡部紗也
老人ホームの裏事情Part2
by 永礼盟
老人ホームの裏事情
by 稲垣尚美
 
稲垣尚美のコラム
稲垣尚美自己紹介

老人ホームの裏事情Part4へ
35 まちさんの転落
34 痴呆の利雄さん
33 入院について
32 入所する人の家族の思い
31 介護認定調査のお仕事
30 熱の効果
29 風邪の季節です
28 あいさんのお仕事
27 帰宅願望
26 実習生と差し入れ
25 外泊
24 外国の介護
23 お盆の帰宅
22 ヘルパー実習
21 よしさんの外出
20 薬とアルコール
19 もう一つ、七夕様
18 七夕様
17 よしさんの歩行
16 リハビリの成果
15 ショートステイのたねさん
14 バラ園へ
13 夫婦愛っていいな〜
12 虐待を受けてきた人
11 近所の人
10 場違いな存在
9 重度の方の死
8 インフルエンザ
7 お花見ツアー
6 シンプルな生活
5 Tさんと娘さん
4 さととはつゑ
3 霊感が、ついちゃった職員
2 幽霊信じますか?
1 まんじゅう持ってこい
0 プレリリース

発行部数


最終更新日:2011.02.27

創刊:2002.02.14

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第34回

痴呆の利雄さん

こんにちは、稲垣尚美です。外では、強い北風がピューピュー吹いています。本格的な冬、到来。今年は、どんなクリスマスにしようかなと考えるとワクワクしますね。

施設でもクリスマスと忘年会のイベントが、あります。クリスマスは、クリスマスバイキング。忘年会は、慰問の人達の余興などです。

利雄さんという痴呆の男性が、みえます。身長の高いがっしりした体つきで手足に不自由は、ないので小柄な私は、ちょっと近づきがたい思いをしてしまうのですが・・・

この利雄さん、とても帰宅願望が、あります。職員をみつけては、「今日は、帰る日だろう」と一日に何度も聞きにきます。その度に「今日は、帰る日じゃないから、泊まっていってくださいね」で、5分もしないうちにまた「今日は、帰る日だろう」の繰り返しです。

夜間など、睡眠時間がとても少なく、3時間程度しか横にならず、あとはホールの椅子に座って朝を待つという毎日です。何度か、声をかけて居室で横になってもらうのですが、すぐに起きてきてしまいます。どうしてこんなに睡眠時間が少なくてすむのかと、夜勤中、眠い目をこすりながら仕事をしている時、秘訣を教えてもらいたいものだと思ってしまいます。

利雄さんの帰宅願望が、強まる夕方、私が、エレベーターを使ってお茶を運んできました。うちの施設は、2階が痴呆棟になっています。1階が、玄関です。エレベーターが、2階について扉が開いた瞬間、利雄さんが、エレベーターに乗ってしまったのです。利雄さんは、エレベーターに乗れば、玄関に行くことを知っています。

いきなりエレベーターに乗られて私は、焦ってしまいました。「利雄さん、降りてください」と、私は、利雄さんの腕をつかんでエレベーターから出てもらおうとしましたが、簡単に振り払われてしまいます。

すぐ近くにいた男性職員を呼びました。力のありそうな22歳です。「お願い、一緒におろして」その職員は、「稲垣さん、焦っちゃあだめですよ」と笑いながら、「エレベーターの扉をしめますよ」と閉のボタンを押してエレベーターを閉めました。そして扉が、閉まって一呼吸おいてから開のボタンを押して扉が開くと同時に「つきました。玄関に。」と利雄さんに言うと利雄さんは、スタスタとエレベーターを出て玄関と思われる方向へ歩いていきました。もちろんエレベーターそのものは、動かしていないので2階の痴呆棟のままです。

ほっとしましたが、今までの自分の経験ってなに?ってちょっと情けなくなりました。

2002.12.23


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