納涼祭

老人ホームの裏事情PART2

老人ホームのイメージとは?和気藹々な老人たち。暗い病院のような所。夜な夜な徘徊するイメージ。じつは老人ホームにはこんな実体があるんです。有料老人ホームで働く筆者が語る老人ホームのさまざまな裏事情。

超高齢化社会コラム
老人ホームの裏事情Part5
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老人ホームの裏事情
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永礼盟のコラム
永礼盟自己紹介

50号〜最新号
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48 帰ってくる人
47 スターバックス
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45 新しい風
44 婆ちゃん
43 集団感染
42 新年
41 ピアノ2
40 ピアノ
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38 四角形2
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36 いなくなる人
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32 ヘルパーまでの道のり(4)
31 ヘルパーまでの道のり(3)
30 老人ホーム
29 経管胃ろう(4)
28 経管胃ろう(3)
27 経管胃ろう(2)
26 納涼祭
25 経管胃ろう
24 死〜憂鬱と決意〜
23 踊る大捜査線
22 流れる麺
21 七夕
20 ヘルパーまでの道のり(2)
19 脳梗塞
18 スタッフを困らせるYさん(5)
17 スタッフを困らせるYさん(4)
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15 ヘルパーまでの道のり
14 iさん
13 新しい人
12 疥癬(4)
11 疥癬(3)
10 疥癬(2)
9 疥癬
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7 幻覚その1
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5 忘れる人
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2 スタッフを困らせるYさん(2)
1 スタッフを困らせるYさん

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50号〜最新号
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最終更新日:2009.01.23

創刊2003.02.12

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第26回

納涼祭

こんにちわ。永礼盟です。ご購読ありがとうございます。

なんだか寒い夏でございます。そんな冷夏の真っ盛りに、我がホームでは、納涼祭が行われました。暑くなる前に納涼祭ですが、一体どんなお祭りになるのやら、期待一杯、不安一杯合わせて2杯の物でした。私の役目は、焼き鳥を焼くこと。それだけが自分に与えられた使命でした。

お祭り男の垣田くんが、またやってくれました。その不安は、見事に空振りに終わったのでした。不安の一つに、ご家族が沢山来ることと、近隣の方々に声をかけていたことにありました。職員が、どうなっていくのかが解らないのに、来客が沢山来ることに対してかなりの緊張感を覚えました。

以前、家族会が開かれたときは、大荒れでした。ご家族の不満が一気に噴き出したと言う感じでした。そのイメージが何時までも残っているため、ご家族が沢山来ることに不安と憂鬱があったのが正直な気持ちでした。

約束の時間の少し前から、お客様は集まり出しました。当日の進行は、四時から御入居様にビデオ鑑賞をしてもらって、五時からビンゴゲーム、その流れで焼き鳥やら、たこ焼きやら、焼きそばやら、かき氷やらをお客様に取りに来てもらおうという趣向でした。

例の如く、施設長がお好み焼き、たこ焼き系の食を担当しました。生地からしっかりと作っています。そこへ続々と集まって来るご家族の方々。普段と違う雰囲気に、どことなく違和感があります。集まるご家族と、くだけた話をしながら、生地を練る姿に好感を持たれた様子です。

私は、焼いたことのない焼き鳥を、試しに焼いてみようと思い、プロパンガスの元栓をひねり、火を付けます。案外勢いよく火がついたのに驚きました。

試し焼きを始めると、ご家族が一斉に駆け寄ってきます。「あ〜ぁぁぁ試し焼きなのに...」心の中で思っていても、そのパワーに勝てませんでした。中高生のお子さまをお持ちのお母様達は、とてもパワフルで、焼き鳥なんて焼いたことがないと発言しよう物なら、たちまち押しつぶされてしまいそうなパワーでした。

「ささっ!早く焼きなさい!みんな待っているわよ!」焼いている横で、そう発破をかけられ鳥肉に塩を振ります。厨房スタッフの村田さんが、焼き鳥のタレを作ってくださいました。塩焼きから始めましたが、お母様方に押されている私を見て、一等早く準備してくれたようでした。

まだ、納涼祭のスタートはきられていませんでしたが、すでにご家族は戦闘モードに突入です。思えばプロパンガスの元栓を明け、「ボン!」と火を付けたときに納涼祭がスタートしてしまったような気がします。

直ぐに用意されていた法被を羽織り?き鳥と格闘します。他の職員達も、戦闘モードに突入です。まるで満員の居酒屋のようでした。「こことここに、ビール三つ持ってきて!!」「焼き鳥まだ〜!」ご家族と、入居者様の声が飛んできます。我がホーム、活気に揺れております。そこへ、着替え終わった女性職員がやってきます。「ほぉ〜!!」と、一同から感心の声が上がります。鮮やかな色合いの浴衣で登場したのです。むさ苦しい法被姿の野郎達の間に、花が加わります。納涼祭が一気に盛り上がっていくのを感じました。

しかし、思いの外焼き鳥の煙が凄かった。室内で焼き鳥は、辛い物がありました。よく考えてみると、焼鳥屋の前を通ると凄い煙がたっているのを思いだし、家族から文句を言われながら「来年は絶対に焼き鳥降りてやる」と心の中で愚痴っていました。

やっぱり、施設長のたこ焼きが大評判でした。ノーマルのたこ焼きに、コンニャクたこ焼き、キムチたこ焼き、施設長オリジナルたこ焼きが次々焼かれます。浴衣姿の職員が、出来上がった物お持ちし、注文されたビールにジュースを運んでいきます。進行なんて無いようなもんです。

私は、言われるがまま、焼き鳥を焼き続けました。タレに、塩に、段々要領を掴み、テンポよく焼けるようになりました。タレ焼きが大好評で、お持ちしても、お持ちしても、直ぐに次の注文が来ました。全部で150本あった焼き鳥全てを焼き切ってしまい、自家製焼き鳥タレの勝利でございました。

気が付くと、近隣のお客様もいらっしゃって、顔を赤くされ、とても楽しんで居られるようでした。御入居様とカラオケを歌い、お酒にお食事に、「ホームの中は、こんなに明るかったのか」とおっしゃられていました。外からは想像できない老人ホームの実体を噛みしめて居られるようでした。

ご近所の方々と、ご家族御入居様が一体になった、とても意味のある納涼祭になった気がします。寒い雨空のこの日でしたが、我がホームは温かく、そして熱く暮れていきました。ご家族は、「こんなケアがされていたのか」と、ご近所の方々は、「悪いイメージしか持っていなかったけど、こんなに明るかったのね。」そう言い残されて帰られました。沢山のお土産を手にして。

本当に意味深い会であったと思われました。片づけをしながら、職員それぞれが心地よい疲労感を楽しんでいるようでした。打ち上げで乾杯し、今日を振り返ります。みんな笑顔で、充実感、達成感を噛みしめているように見えます。一歩、一歩、ベクトルは良い方向へ向いている事を悟った日でありました。

2003.08.31


永礼盟

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