夜も寂しい母子家庭 by 北村マリア

母子家庭で暮らしていくには想像以上の忍耐と根気が必要。時には不本意なことも・・。二人の保育園児を抱え風俗店の受付嬢も経験した妖艶なシングルママが、寂しい夜を克服しつつ母子家庭の喜怒哀楽を綴ります。

母子家庭シリーズ

私は在宅母子家庭ワーカー
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夜も寂しい母子家庭
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母子家庭・だからどーした?
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北村マリア

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北村マリアのコラム

19 実習生
18 水子
17 再会
16 現況報告
15 社会復帰
14 神経質
13 見合い話
12 風雲
11 離婚合意
10 修羅場(激情編)
9 変態談義
8 黄昏
7 潮騒
6 七転八起
5 父性愛
4 攻撃の夜
3 悶夜
2 秘め事
1 一人の夜
0 男いない歴

第12回

風雲


一度は追い返そうと思った夫だったけれど、離婚を決めてしまうと女と来たとかひどい父親だとかそんなことはどうでも良くなり、夫に子供を預けて出勤した。

使える時に使っとけ…じゃないが、どの道子供を連れて出勤したって、子供達は狭い託児所に預けることになる。私の仕事が終わると、寝ている所を起こされて、タクシーに乗せられて…それならよっぽどパパと過ごした方がいいでしょうと考えた。

友人と店に入り、店長の第一声は『お前、何だその顔』だった。女に左頬を引っかかれた痕が、薄いミミズ腫れになっていたのだ。店長に一部始終を大まかに話すと、『ともかく頑張れよ』とポンと肩を叩かれた。『ハイ』とは言ったものの、店長の目を見ては言えなかった。

何故なら…離婚を決めて知ったことなのだけど、私が風俗に入った動機には、『別居を長引かせて、うんと金とって離婚してやる!!』という意地がかなりの割合を占めていた。その意地があったからこそ、変態に出くわそうと、嫌な客に当たろうと耐えられた。その意地を捨ててしまい、正直風俗に対する迷いが出始めた。すぐにでも止めようなどとは思わなかったが、続ける気力が失せて困っていた。

店長は…それが仕事だろうと、優しくて思いやりの深い人だった。この人とそして友人を裏切らない程度までは勤めよう…そう思っても、『続けていく』ということにゲンナリしてしまい、我ながら情けなかった。

風俗の金曜の夜は忙しい。この日は特別忙しかったらしく、4人の客についた。忙しいと先のことを思う余裕がなく、気が紛れた。けれど友人から『来週の早番の後にでも飲もう』とメールがあり、やり取りしてるうち11月23日と決まり、漠然と嫌な予感がしたのは事実だ。(まさか私、23日までに辞めたりしないよな…)何とも情けない話だが、先の自分に確信が持てなかった。

家に帰ると、父子は『小』の字になって寝ていた。テーブルには友人が買ってきてくれたケーキ、食べかけのピザ、風呂場は開けっ放し。昼寝しなかった子供達がぐずりだし、慌てて寝かせた様子がアリアリだった。

シャワーを浴び、そっと支度を整えて、夫達から離れた場所に布団を移した。夫に欲情されるのが嫌だった。怖かった。夫が気がつく前に寝てしまおうと、かなり緊張状態で布団に入ったのだが、入った途端めまいに襲われ、そのまま意識が遠のいた。

まさか翌日夫の両親がやって来るなどと夢にも思わず、その晩は久しぶりに、夢も見ず、途中で目覚めることなく、ぐっすり眠った。あの頃、あんなにぐっすりと一夜を眠ったことは、あの晩たった一回きりだった。

2003.05.28

北村マリア

夜も寂しい母子家庭


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最終更新日:2016.12.02

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