[373]日本・メコン交流年 最後のセミナー

 メコン地域投資促進セミナーに行って来ました。カンボジア経済特別区委員会副長官、ラオス投資計画省投資促進局長、ミャンマー外務省国際機関・経済局長、タイ投資委員会国際部長、ベトナム計画投資省国内経済局副局長という実務レベルトップのメンバーが勢ぞろいし、日本・メコン交流年であった2009年をしめくくるにふさわしいセミナーでした。とはいえ日本人にとって投資活動からはまだまだなじみの薄い国々もあるのに250名の定員があっという間に埋まったそうです。
12月10日号「ベトナム新しい展開」でも触れたようにベトナム関連のセミナーも満杯、11月にコンサルタントを務めさせていただいた「ヨルダン イラク パレスチナ展」でもこの3ケ国についてそれぞれセミナーが並催されていましたが、いずれも大変なにぎわいでした。途上国に寄せるビジネスマンたちの関心と一般メディアによる報道記事にはどうも温度差があるような気がしてなりません。国際化をさらに進展させようと羽ばたく人々と自分の身の周りの事だけで精いっぱいになっている人々という二極分化も始まっているような気がします。
この地域についてはすでに何回かこのエッセイで触れております。関連記事を書きだしておきますのであわせてお読みいただければ概要や執筆時との変化をおわかりいただける事でしょう。冒頭の 5ケ国に中国を入れた 6ケ国が GMS(大メコン地域)ですが、 1人あたり GDPの順で言うとタイ(4,115米ドル)、中国( 1,300米ドル)、ベトナム( 1,040米ドル)、ラオス(840米ドル)、カンボジア(818米ドル)、ミャンマー(462米ドル)となります。人口順では中国(1,300百万人)、ベトナム(86百万人)、タイ(66百万人)、ミャンマー( 59百万人)、カンボジア(14百万人)、ラオス(6百万人)となります。この経済格差(つまり労働コストの差)を活用して国際分業を行い、共に発展しようというのが今のメコン地域のめざす方向です。
たとえばタイには 7,000社以上の日系企業が進出しており、自動車産業や家電などの精密部品やハイテク製品に国際競争力を持っていますが、生産コストが上昇しています。そこでタイの工場を閉鎖せず、ラオスで労働集約的な作業を行い、タイで最終組み立てを行い、タイ国内で販売する、もしくはタイから輸出するというパターンがあります。
あるいは中国にマザー工場を置き、ラオス第2工場、さらにタイで最終組み立て、そこから輸出というパターン。中国にマザー工場を置き、ミャンマーが第2工場、あるいはベトナムがマザー工場でカンボジアが第2工場というように無数の組み合わせが考えられます。それぞれのお国事情もありますが、現在道路網の整備や通関制度の簡略化が進んでいます。
 以前、ベトナムの貿易促進機関の副長官と雑談をした際に「日本人はアセアンの後発国であるラオス、カンボジア、ミャンマーとはビジネスでのつながりが少なく、域内での格差が広がった場合、アセアンとして連帯が危うくなるのでは」と私が言うと「それでは日本からの投資がふえているベトナムが架け橋となれば良いでしょう。ベトナムにとっても新しいビジネス・モデルとなるし、日本も後発国もそれぞれにメリットがあります。」と即座に答えられました。賢人で有名な方でしたが、国境紛争の絶えなかった国々がそれぞれの違いを生かしながら協調しあおうという時代に入りつつある事は確かです。
河口容子
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「ブルネイにお詳しいとお聞きしたものですから」と JETROの方から電話をいただき、ブルネイのハンディクラフト業者がIFFT(国際家具見本市)に出展したのを機にレセプションがあるのでどうぞ、というご案内をいただきました。ブルネイのハンディクラフト業者にセミナーを現地で開いたのは2004年です。たった一人で 2日半のセミナーを仕切るという大役でした。もともと企業数が少ない国ゆえに私の知っている人が誰か来ているだろうと出展業者のリストを見ると2003年以来交流のある刺繍製品の会社の女性オーナーの名前を見つけました。彼女はグッドデザイン賞アセアンセレクションの第一回受賞者です。

当日は雨の強い寒い日でした。まずはブースに向かうと刺繍の女性がいました。今までご主人の顔どころか、話すら聞いたことがないのに今回はご主人も一緒の来日です。「寒いでしょう?」と赤道直下から来た二人に言うと「寒いけど、大丈夫」とニコニコ、大手デパートのバイヤーが見に来てくださったのだとか。彼女に「ねえ、あちらの会社の女性って私のセミナーに来てくれていましたか?」と聞くと「そう来ていたわよ、覚えてる?」彼女はさっそく織物の会社の女性オーナーの所へ連れて行ってくれました。「私もよく覚えています。」と織物の女性。2004年に会った時は丸顔のやさしくてきれいな人だという印象がありますが、少し日に焼けて年をとった感じがしました。「私たちもあの時は若かったわよね。」と私。「今だってみんな若いわよ。」と刺繍の女性。もう 1社はクリスタルガラスのメーカーですが、こちらはグッドデザイン賞アセアンセレクションの第二回受賞企業です。

実は JETROが 2年がけでデザインなどの専門家をブルネイに派遣し、日本市場向けの商品化指導を行い、IFFTが発表会というわけです。なぜ、ブルネイかと不思議に思う方が多いでしょうが、日本の LNG輸入の約10%をブルネイに依存しているのです。日本は世界の LNGの約 4割を輸入している世界最大の LNG輸入国です。インドネシア、マレーシア、オーストラリア、カタールに次ぐ輸入相手がブルネイなのです。ブルネイとの経済連携協定 (EPA)も2008年 7月に発効し、先日のシンガポールでのAPECでも鳩山首相がブルネイのボルキア国王と会談、ブルネイが LNGの長期安定供給と来年のAPECでの議長国日本を支持することを確認しました。このハンディクラフトの件も資源外交の延長線上にあることは間違いありません。

さて、お次はレセプションでレストランを借り切って行われました。もちろん駐日ブルネイ大使も出席されました。このレセプション、ドレスコードはセミフォーマルと書いてありました。最近はフォーマルと言ってもかなりカジュアル化していますので、はてセミ・フォーマルとはどのくらいのレベルなのかと数日悩んだ事は確かです。ましてや私の場合はビジネスパーソンとして招待されているわけでいつでも名刺を出してビジネスの話をするのをふさわしいスタイルでなくてはなりません。

黒地に水彩タッチのプリント柄のついたシフォンのミニ・ドレスに黒の長めのジャケット、チャコールグレイのタイツに黒のスエードのくしゅくしゅ感のあるロング・ブーツにしてみました。カジュアルなイタリアン・レストランですのでブーツでもスエードなら平気だろうと判断したのです。タイツにブーツの組み合わせは厳格なイスラム教徒である彼らに対しても脚を見せないという配慮もあります。日本在住のブルネイ女性なのでしょうか。被り物をしているもののやはりミニスカートにロング・ブーツ姿を発見。このくらいならドレス・コードなんてわざわざ書かなければ良いのにと思ったくらいです。こういう時男性のスーツと女性の民族服は本当に便利とうらやましく思います。

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河口容子