[381]中国で輝き始めたダイヤモンド

最近、何かの記事で中国のダイヤモンド市場が日本を抜き、米国に次いで世界 2位になったと知りました。人口の多さはもとより、とんでもない富裕層の多さからも不思議ではない気がしました。ワビサビの伝統がある日本より、金銀財宝は中国人にお似合いです。中国のジュエリー市場の常連は 1.000万人以上いると言われる富裕層、これにニューリッチ層、何と中間層の上のほうの人口だけでも何と 1億 7千万人いるのです。

また、製造業としても広東周辺がメインでこれは香港系の企業が進出しているのと労働集約型産業の基盤が整っているからです。山東省ではゴールド・ジュエリー、青島ではシルバー・ジュエリー、浙江省では真珠関連という具合に集積地もすでにできていると聞きます。

日本もバブル時代にはジュエリーが飛ぶように売れました。催事場ではガラスケースが押し寄せる客で動き始め、中にいる販売員が押しつぶされそうになったり、「これ下さい」と客が商品を販売員にお札と一緒に他の客の頭を飛び越して放り投げたりする光景を何度も見ました。販売員は賽銭箱状態です。景気が良かったのに加え、それまで庶民はジュエリーとは縁がなかっただけに購買意欲をかきたてられたのでしょう。この状態が人口10倍以上の国で起こればどんな事になるか、米国の 1位を抜いて中国がダントツトップになる日もそう遠くはないと思われます。

ところが統計を見るとジュエリー市場を支えているのは大きな宝石を身につけた中国マダムではなくブライダル需要です。2008年の婚姻数は 1,100万組。都市部では 8割以上が婚約指輪を購入し、ジュエリー市場の65%の金額を占めます。結婚指輪は25%なので、まだまだファションとしてのジュエリーは10%ちょっと。日本もまずブライダル関連が普及してからファッションに拡大した事を思い出すとまだまだ拡大の余地があり、カルティエ、ティファニー、ブルガリなど欧米の著名高級ブランドはどんどん中国に進出しています。

一方、日本は不況と服装のカジュアル化が進みジュエリーの出番が少なくなったような気がします。既婚女性にもかかわらず結婚指輪をしていない人、離婚しているのに結婚指輪はしたままの人など、もう結婚指輪で未婚か既婚を区別する事すら難しくなりました。100万円から200万円のメンズリングがニューリッチ層の男性に売れているそうですから世の中は変わったものです。

生まれ月ごとに決められている宝石が誕生石ですが、西洋占星術による星座石、生まれ曜日による曜日石というのもある事を先日の国際宝飾展でお会いしたジュエリースクールの校長先生から初めて聞きました。いずれもそれぞれの神様に捧げられたもので、お守でもあるのです。私はダイヤモンドが好きですが、誕生石ではありません。ところが獅子座の日曜日生まれで星座石も曜日石もダイヤモンドであることを発見。妙に納得したから不思議です。ただの鉱物があんなに高いなんて馬鹿馬鹿しいと思えばそれまでですが、持つ意味や意義まで考えるとジュエリーというのは長い歴史や文化の産物だということがよくわかります。

河口容子

[375]面接試験いろいろ

 香港のビジネスパートナーから依頼される仕事に日本人スタッフや取引先候補との電話面接があります。また、香港人スタッフの日本語力チェックもあります。ビジネスパートナーは英語、広東語、北京語を同レベルで操れる語学力があり、何十年と日本との取引経験がありますが、どうも日本語は苦手のようです。日本人に関する面接については日本のビジネスパーソンとしての常識をわきまえているか、そのスキルや経験が日本の取引先に評価されるレベルかどうかがポイントです。香港人については「日本語ができる」という事で応募してくるわけですから、実践に使えるレベルかどうか私が試験をするわけです。
 上記の方々は私とは原則として直接関与しませんので、たった 1-2回のやり取りで評価をさせていただくのは非常に責任が重いと感じる部分もあります。社内に日本人がいるのですからその方々に面接をしていただいたら良いと思うのですが、トップダウンの風土から社員には任せたくないという気持ちと、日本語で行う仕事のトレーナー兼チェッカー(私) がちゃんといるという証拠を見せたいのかなと推察します。
 先日は日本から水産物などを輸入して香港の日本食レストランに卸している会社に香港人の営業チーフを採用したいので電話をかけて営業をできるほどの日本語力があるかチェックしてほしいという依頼がありました。中卒ですが働き者であり、日本のレストランに板前として10年勤務、大阪で 3ケ月修行もしたことがあると説明を受けました。日本の食材を売り込むには相手は香港の日本食レストランの板前さんと話をしなければなりません。当然プロの調理の知識がなければ馬鹿にされてしまいます。
 こういう電話面接の場合、相手が日本人の場合は丁寧な対応をしつつもどこか情報を得ようと探っているような態度や自分に有利にはからってほしいという思いを強く感じ、気が重くなってしまいがちです。その点、外国人の場合はざっくばらんで楽しい会話ができます。日本料理に興味をもった理由をこの香港人の板前さんに聞くと「子どもの頃お母さんが日本食レストランに連れて行ってくれたんです。とてもおいしかったから興味を持ちました。」超学歴社会の香港で中卒という事は豊かな環境ではなかったのでしょう。「お母さんが」と言うあたりは母子家庭なのかも知れません。もし、いつでも日本食を食べられるような豊かな家庭に育ったなら、おそらく板前になろうという「夢」は持てなかったかも、と思うと人間何が幸いするかわかりません。
 「板前の修業って大変でしょう?日本の若い人は長い間辛抱するのが嫌だとなり手が少ないと聞いていますが、香港人で板前になろうという方は多いのですか?」と私。彼は魚(特にマグロ)をさばく大変さを教えてくれた後「結構いますよ。大変だけれど面白い。」「それでは今度日本に来たら料理を作ってくれますか?うちの包丁はあまり切れませんけれど。」「もちろん、いいですよ。」「中華料理も作れますか?」「作れますよ。」「ラッキー!」お互いの笑い声のうちに電話面接は無事終了しました。
 彼が加わろうとしている会社は日本人が設立した会社にパートナーが出資、のちに買収した経緯があり、人事やビジネスのやり方がなかなかすっきりしませんでした。電話面接をした彼が持ち前の明るさと頑張りで新しい風と吹かせてくれる事を願っています。
河口容子
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